一人親方は懸命に働く労働者でありながら、事業主に分類されるという少し特殊な立場です。
そんな背景からか「一人親方は事業主だから年金に入ることができない」といったウワサをちらほら耳にします。
ウワサが本当かどうかは定かではありませんが、もし年金に入れないなら老後に困ってしまいますよね。
ウワサの真相が気になるところです。
一人親方は年金に入れないって本当?
年金は会社員や公務員のイメージが強いことから、「フリーランスや一人親方などの個人事業主は加入することができない」とお思いの方も多いです。
そのため「一人親方の自分は年金に入ることができないんだ」と年金への加入を諦めていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、諦めるにはまだ早いです!
実際のところ、一人親方でも年金に加入することはできるんです。
確かに会社勤めの人しか加入できない「厚生年金」には加入することは出来ませんが、その他にも、個人の方が加入できる年金は存在します。
ですのでご安心ください!
そもそも年金にはどんなものがあるの?
ではさっそく、「一人親方が加入できる年金についてご紹介します!」と言いたいところですが、そこはグッとこらえて。
まずは、そもそも年金にはどんなものがあるのかを理解し、自分に合った年金を探す準備から始めましょう。
日本の年金制度には、主に次の3つがあります。
- 厚生年金
- 国民年金
- 個人型確定拠出年金や個人年金保険
1つ目は「厚生年金」です。
会社員や公務員など、組織の従業員として働く人が加入する年金で、事業主と保険を受ける人で保険料を半分ずつ負担するのが特徴です。
一人親方は言わば個人”事業主”であり、従業員ではありませんから厚生年金に加入することは出来ません。
2つ目は「国民年金」です。
日本在住で20歳以上60歳未満のすべての方が加入することになる年金です。
国民年金の特徴として、保険料が定額であることや、保険料が全額「社会保険料控除の対象」になることが挙げられます。
こちらの年金は個人の方でも加入できる年金の一つです。
3つ目は「個人型確定拠出年金や個人年金保険」です。
国民年金などを活用する他にも、「iDeCo」という私的年金制度や、民間の保険会社が提供する「個人年金保険」を利用する方法もあります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)及び個人年金保険への加入は任意であり、個人の方でもご自身のニーズに合った年金に加入することができます。
以上をまとめると、これら3つの年金の中で一人親方が加入できる年金は(2)と(3)の2種類ということになります。
【老後に向けて】一人親方が加入できる年金
一人親方は年金に入れないと聞いて不安に感じていた方も多いと思いますが、実際には入ることができる年金が2種類もあると分かり、ホッとされたのではないでしょうか。
一人親方が加入できる年金の種類がわかったところで、会社勤めではない個人の方でも準備できる年金にはどのようなものがあるか気になりますよね。
今回は一人親方が加入できる年金の候補として、以下の3つをご紹介します。
- 国民年金基金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 個人年金保険
それでは一つずつ解説していきたいと思います。
国民年金基金
個人事業主やフリーランス等の方は雇用主という位置付けになるため、厚生年金に加入することができません。
しかし、厚生年金の代わりになるものとして「国民年金基金」という公的な年金制度があります。
この制度が誕生した背景は、厚生年金や企業年金、国民年金などに加入できる会社勤めの人たちと、国民年金や民間の年金保険を利用するしかない個人事業主との間で、年金受け取り額の差が大きく開いていたことにあります。
国民保険のみだと年金の受給額が満額でも年間80万円程度。
月に換算すれば6万円弱しか受け取ることができませんが、国民年金基金を上乗せで加入すれば年金受給額を引き上げることができます。
以下のサイトでご自身の年齢と課税所得額を入力すれば、毎月の掛け金や毎年の年金受け取り総額などを調べることができます。
自分に合ったおすすめのプランを知ることも出来るので、気になる方はぜひ一度シミュレーションしてみてください。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、一言でいってしまえば「自分で運用する年金」です。
仕組みとしては運用管理機関が選定した運用商品の中から、自分で金融商品を選んで運用します。
自営業の方は掛け金の上限が月6万8千円と高く、さらに掛け金の全額が所得金額から控除されるので、大幅に支払う税金を減らせます。
一人親方が積極的に活用したい年金の一つです。
個人年金保険
個人年金保険とは、民間の保険会社が取り扱っている保険商品のひとつです。
厚生年金や国民年金の補てんを目的とした年金で、任意で加入することができるのが特徴です。
プランもさまざまで、年金保険の契約時に年金の受け取り額が確定する「定額年金」と投資信託などの運用商品の運用実績によって受け取り額が変動する「変額年金」があります。
ご自身の性格や家庭の経済状況に合ったものが見つかるかもしれません。
用意されているプランは保険会社によって様々ですから、何社か調べてみて自分に合ったプランを比較検討してみましょう。
【老後に向けて】その他にできること
ここまで年金についてご紹介してきました。
しかし、老後に向けて準備できることは年金だけではありません。
選択肢を広げるという意味でも年金のほかに準備できることを3つご紹介します。
- 無理のない範囲で貯金する
- 少額から投資をはじめてみる
- キャリアアップのためのスキルを身に付ける
「月3万円貯金する」、「手取りの10%を投資にまわす」などといった具合に、毎月一定の額を積み立てていくのがまとまった資産を築くコツです。
とはいえ、無理して切り詰めて体を悪くしていては元も子もありません。
あくまで無理のない範囲で老後に向けて準備していきましょう。
まとめ
今回は一人親方が年金に入れないのは本当か、また、老後に備えて一体どうしていけばいいのかについてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
一人親方は事業主なので厚生年金には入れません。
しかし、一人親方はすべての人が加入する「国民年金」に加えて、「国民年金基金」と「個人型確定拠出年金(iDeCo)」、「個人年金保険」の3種類から追加で年金に加入することができます。
これらの年金制度に加入するだけでも老後の不安は少し取り除けますが、そこにプラスで貯金・投資・スキルを習得しキャリアアップなどをすればさらに安心です。
無理のない範囲で老後に向けて少しずつ準備を進めましょう!