一人親方の方に質問です。
あなたはご自身の契約方法を把握しているでしょうか?
ちなみに正解は請負契約です。
では、続けて質問です。
あなたは請負契約と常用契約のちがいについて理解していますか?
もし理解していないのであれば注意が必要です。
この違いを理解していないと、元請けから不当な扱いを受けていてもその事に気づく事もなく、良いように使われてしまっている可能性があるからです。
元請けと対等な関係で仕事が出来るように、ぜひ理解しておきましょう。
常用契約とは?
常用契約とは、業務の遂行を目的として結ぶ契約のことです。
会社に勤めている従業員をイメージしていただくと分かりやすいと思います。
従業員は会社側から「9時から18時まで勤務する・仕事はマニュアルをもとに進める・この仕事をやって欲しい」といった指示を口頭や書面で言い渡され、その指示通りに仕事を実行することが求められますよね。
従業員にももちろんノルマはあるでしょうが、仮に仕事を完成させなくても指定された時間しっかり働き、就業規則を破らななければ問題ありません。
一人親方の場合ですと、「この日に3人欲しいから、現場に送ってくれ」と元請けに言われることもあるかもしれませんが、建設工事に労働者を派遣する行為(人工出し)は違法ですので注意してください。
もし送り出す場合は、必ず請負契約を結ぶ必要があります。
請負契約とは?
請負契約とは、仕事を完成させるまでが求められ、完成した成果物に対して報酬が支払われる契約のことです。
特徴としては、あくまで仕事を完成させることを目的としているので、指揮命令等をする権利は委託側にはないことです。
つまり、常用契約を結ぶ労働者のように、時間的な拘束や細かい規則などによる制限を受けることはありません。
請負契約では、契約前の段階で実行すべき作業内容や最低限守るルールなどを定めておき、その契約内容の範囲で仕事を遂行するのが基本です。
一人親方が常用契約を結ぶのはおかしい
しかし、中には偽装一人親方といって、一人親方として請負契約を結んでいるにも関わらず、常用契約と同じような働き方をさせられている一人親方もいます。
常用契約を結ぶのは会社の従業員として働く正社員だけですから、もし常用契約を結んでいる又は請負契約でも常用契約のような働き方をしているなら、それは一人親方ではなく従業員です。
そのような偽装一人親方は現場への入場制限措置が取られ、いずれは排除されてしまう運命にあります。
もし自分が一人親方であるにも関わらず常用契約と同じ働き方をしているならば、元請けと契約内容についてしっかりと話し合いをした方がいいかもしれません。
請負契約外の常用作業に注意
しかし、現実的には工事の請負契約を結ぶ時点で作業範囲を明確にできるとは限りませんから、契約後に作業を開始して、必要になったタイミングで作業内容の追加や変更をすることで対処することも多いです。
作業現場でその都度注文書をもらうのも面倒な話ですから、元請けから受けた追加依頼をそのまま実行して、「後で追加支払いをお願いします」という対応で済ませてしまいがちです。
もちろん、しっかりと支払ってくれる元請けもいますが、中には「その作業は契約内容に含まれているだろ!」と主張してくる場合もあります。
それを言われるがままにしてしまうと工費を踏み倒されてしまいますから、契約内容に記載されていない作業は断り、交渉する必要があります。
通常であれば、下請負契約の条項に「追加、変更に伴う増減金は協議して決める」と記載されているはずですから、その点について元請と話し合いましょう。
【口頭ではなく書面で】工事に着工する前に契約書を必ず交わしておこう
元請けとのトラブルになってからでは遅いですから、工事に着工する前に契約を結んでおくことが重要です。
口頭で契約を結ぶケースが多いかもしれませんが、必ず書面で契約を交わしておきましょう。
なぜなら、書面で契約書を結んでおくことで請負契約にはない作業を命じられた時も、「契約には含まれていないのでやりません」と合理的に断ることができるからです。
契約書を作成してもらう上で重要なポイントは、完成すべき作業の内容や処理する必要のある業務などを具体的に記載してもらうことです。
よく「◯◯工事一式」と曖昧な表記がされている場合がありますが、それだと本来やる必要のないような業務を指示された時に、「それは契約に含まれているから」と押し切られてしまう可能性があります。
必ず具体的な作業内容や処理すべき業務などを記載してもらうようにして下さい。
まとめ
今回は「請負契約」と「常用契約」の違いについて解説いたしました。いかがでしたでしょうか。
一人親方の中には請負契約でありながら、労働者と同じような労働実態の人もいますが、その場合は雇用契約を結ぶべきであり、適切ではありません。
作業現場でその都度契約書をもらうのは煩わしいと感じるかもしれませんが、トラブルが起きてからでは遅いです。
契約して工事に着工する前に、作業内容や処理すべき業務を契約書に記載してもらうのが望ましいですね。