高さ約9.7メートルの3階建てビルの周囲に、単管足場を組み立てる際に発生した労災事件があります。
足場の建地は、2メートル、4メートル、4メートルの合計3本の単管をつなぎ合わせた、延長10メートルのものを、1.8メートル間隔で設置するものでした。
各単管をつなぎ合わせるジョイントの大半は、摩擦接合式の「ボンジョイント」が使用されていました。
屋上の労働者が2メートルと4メートルの単管をつなぎ合わせたものを順次下ろす作業中に、上側の2メートルの単管を持った時、ボンジョイントで接合されていた下側の4メートルの単管が外れて鉛直方向に落下し、直下にいた労働者に激突し死亡しました。
このようにボンジョイントは安全ではありません。厚生労働省が単管パイプにボンジョイントを使用することを禁止しています。
足場のジョイントとは単管パイプに利用するもの
足場のジョイントとは、単管パイプ同士を結合するための部材です。
長さの異なる単管パイプを使用目的に応じた長さにするためジョイントを使用することが主ですが、クランプで結合する方が頑丈で安全であるため、クランプに比べるとジョイントの活用場面は減少してきています。
仮設材のジョイントとしては、パイプ接合としての役目としての強度は強くありません(パイプ同士のジョイントの意味合いとは別になりますが。)
仮設工業会における組み合わせの基準として接合部材は、クランプの使用にての参照が一般的になっています。
ホビー的要素や、外観的な面を重視した場合や、建築仮設のような構造的強度が求められない時においては、ジョイントの方が見栄え的にも良いと言えます。
ジョイントの種類としては、仮設工業会認定品ジョイントとして、
- 直線ジョイント
- マルチジョイント
- ドブメッキジョイント
- 手摺用ジョイント
などがあります。
ボンジョイントを使用するのはNG?法令違反?
ボンジョイントとは単管足場用の継手金具として使用される部材です。
本体のカラーに取り付けられているねじを回すに従い、圧着することにより抜け止め機能が働く構造のものです。
抜け止め機構が圧着方式であり、その他の抜け止め機能がないことから、引張強度が極めて低く、「鋼管足場用の部材及び附属金具の規格」(労働省告示第103号)を具備していません。
ジョイント(接合部分)は、単管パイプと単管パイプの接合するときに使います。
基本的にジョイントは単管パイプの繋ぎや曲り部分をきれいに見せるためのものであって強度を強くするものではないです。
単管パイプのジョイントの強度は、真横に引っ張られた場合、許容荷重が0,75tとなります。
垂直に重さがかかった場合の許容荷重は、長さ1,8mで計算して1,9tと、単管パイプのみの使用よりも耐久度がだいぶ落ちます。
一点ネジ式のさまざまな形状のジョイントが販売されていますが、引張許容荷重は130kg~520kgと物によっては、かなり強度性能は低いことがわかります。
足場を組むために単管パイプとジョイントを組み合わせて作ると、人や荷物や部材などを一緒に揚げた時にジョイントで作った足場だと危険な可能性があります。
まとめ
近年、ボンジョイントを用いた足場現場での労災事故が発生して、ジョイントを使う機会はめっきり減りました。
ジョイントはクランプに比べると強度はとても低く意匠上の見かけを良くするということ以外での足場としての実用性はありません。
また厚生労働省のサイトによれば、単管足場でのジョイント目的に、ボンジョイントを使うことは、労働安全衛生法の違反になります。