足場工事の中で最もオーソドックスな工法、それが「枠組足場」です。
各部材が軽量で軽く、取り扱いやすい形状となっていて高い強度があります。
施行高さは45mまで可能で、組立・解体が人力でも容易といったメリットがあります。
枠組足場とは、門型に溶接された建枠にジャッキベース、交差筋交い、布板などの基本部材を組み合わせ、上へ、上へと積上げていく足場のことです。主に建設現場のビルの壁面に沿って設置されることが多いです。
『枠組足場』組立ての流れ
1段目の組立てには細心の注意を払う必要があります。
上層の足場全体が支配されてしまうので、ベースの組立ては一番重要となります。
足場を設置する地面に対して不等沈下が生じない準備が必要で、地面を平坦に整地して敷板・敷角を並べます。
ジャッキベースを敷板の上に置き、根がらみを取り付け、ジャッキベースは敷板に釘止めをして完全に固定します。根がらみは釘打ちをした場合には省略することができます。
ジャッキベースに建枠の脚注を差し込み、各建枠が水平になるように調整ナットで所定の高さに合わせます。
この作業はどの足場においても共通しますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
ポイント
ベースの組立ては一番重要!
次に、建物側の隣接する建枠間に交差筋交いを取り付けます。反対側にも同じように取り付け、各建枠の両側に取り付けていきます。
枠組足場では足場板は使用せず、布板を使用します。
簡単な見分け方は、フックがないものが足場板で、フックがあるものが布板です。隙間のないよう配慮して、布板を敷き並べていきます。
布板をばらばらに取り付けた場合には足場の強度が半減するので注意しましょう。
建枠の連結は、アームロックによる方式の他に回転式のもの、ピン式のものなどがあります。ロックされていないと足場は崩れます。必ず確認する必要があります。
建物でいう1階部分を足場では1層目、2階部分を2層目と言います。
階段が必要となる場合は、2~3スパン(横の間隔)に渡って架設して、階段に沿って85㎝以上の高さに手すりと、高さ35㎝以上50㎝以下のさんを取り付けます。
この繰り返しで、どんどん上層へ足場を上げていくことができます。
『プラスα』の組立てについて
これらの足場の転倒防止対策として壁つなぎを取り付けます。
都心部での建設現場では落下物による危害防止の規定などにより、足場には養生枠、シート、保護棚(朝顔)を取り付けて作業する現場も多いです。
これらを取り付ける場合には、壁つなぎの取り付け間隔は、枠組足場の高さが5m以上のものは垂直方向9m、水平方向8mとしていますが、壁つなぎの間隔を狭くすることが必要です。
取り付け箇所はなるべくジョイント部分に近い所とし、なるべく垂直に取り付けます。
建築工事などを行う部分が地面より10m以上の高さにある場合は、落下物の危害防止のために必要な部分の周囲には保護棚を1段以上、20m以上の高さにわたる場合には2段以上設ける必要があります。2m以上突出させ、足場から70°以内の角度とします。
都心部のビル建設現場などで見かける傘みたいなもの、それが保護棚です。見方によっては朝顔みたいということで、朝顔というネーミングがついたとか。
まとめ
ここまで、足場組立ての流れをご紹介してきました。
以前ご案内したように、足場組立図は必ず作成して、現場担当者はこの図面に沿って正確に組立てていくことが重要です。安全性の面から、必ず許容荷重は考慮しないといけません。
またシートを張っている足場の場合には風力係数を計算したり、風圧力も考慮する必要が出てきます。
その中でも最も重要なポイントはベースの組立てです。しっかりとジャッキベースを固定して足場を組立てていきましょう。
今回はかなりの専門用語が出てきました。気になる単語は調べて、覚えていきたいですね。
以上、枠組足場の組立手順をご紹介しました。