ネットの情報や鳶職の知人の話などから「鳶職人は辛い」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
鳶職の仕事はたしかにきついのですが、その分やりがいもあったり、お給料の方もよかったりするのでちゃんときついだけのことはあったりします。
どんな辛さがあるのか事前に理解していれば、苦しい時期も乗り越えやすくなるもの。
鳶職になりたいけどきついと聞いて悩んでいるという方はぜひ仕事内容などについての理解を深めていってくださいね。
鳶職のきつい仕事内容は?
人によって感じ方が違うので一概には言えませんが、「鳶職の仕事がきつい」というのはある程度本当だと思います。
しかし具体的にどんなところがキツいのかは、実際に働いてみないと分からなかったりしますよね。そこで鳶職人として7年間働いている知人の実体験をもとに、鳶職の仕事内容できついと感じたことについてまとめてみました。
朝が早い
鳶職人の朝は基本的に早いです。
なぜなら足場がなければ、次の工程を担当する職人さんたちの仕事が進まないからです。
中には夜の作業は危険だから日没までという制約がある現場もあり、スピード感をもって足場を組み立てることが求められます。
現場にもよりますが、6時半などの早朝から作業に取り掛かることも結構ありました。
肉体労働が辛い
入ったばかりの見習い鳶は部材の組立や解体の補助作業がメインになります。
具体的な作業内容としては、重さ2kg〜10kg以上の材料を肩に担いでは指定の場所まで運ぶ作業をひたすら繰り返します。
他には5mくらいの高さから落ちてきた鉄の材料をキャッチしたり、逆に5m上に材料を投げたりして材料の受け渡しをするといった作業もあります。
掴み損ねると指や腕をケガしてしまいますし、部材を落とすわけにもいかないので集中力が求められる作業だったりします。(ちなみに部材を落とすと尋常じゃないほど怒られます。)
上下関係がとにかく厳しい
仕事熱心で鳶職人としてのプライドを持って働いている方が多く、職人気質というか、厳しい人は他業種よりも多い印象があります。
業務を離れた後は気さくに話しかけてくれたり、面倒見がいい人もたくさんいますが、まだ下っ端で実力が認められていない頃は上下関係に苦労するかもしれません。
天候などの影響による過酷な労働環境
鳶職は外で作業をする以上、天候の影響はモロに受けてしまいます。
特に冬の現場は寒さの影響で体が動きづらくなりますし、夏は暑くて倒れそうになります。オフィス内にはある空調設備がない上に、肉体を酷使するハードワークなので、なかなか過酷な労働環境です。
最近は防寒着や空調服が登場したことによってだいぶマシになりましたが、それでもキツいものはキツいので、肉体労働ゆえのつらさは覚悟しておいた方がいいかもしれません。
鳶職の平均年収はどれくらい?
鳶職の仕事内容は「キツい」という噂はどうやら本当のようです。
しかし、それだけキツい仕事内容にも関わらず鳶職になりたいという人も多いです。
そうなってくると気になるのがお金事情。
中には年収1000万円を稼いでいる人もいるとあって、非常に気になるところです。
そこで厚生労働省の令和元年度賃金構造基本統計調査を参照し、鳶職の平均収入について調べてみました。
調査した情報をまとめると、以下のようになっていました。
- 平均年齢41.6歳
- 平均月収307,400円
- 年間賞与額(ボーナス)241,200円
上記から計算すると鳶職人の平均年収は393万円ということになります。
水準は一般的な職業と変わりませんが、肉体的な辛さや仕事内容に見合った水準かと言われるとやや微妙な感じがしますね。
鳶職のリアルな給料はこれだ!
統計調査からでは実際の給料事情を把握することができなかったので、リアルな数字も調査してみました。
現在25歳の鳶職として働く知人の話では、鳶歴7年で月収40万円くらいだと言います。
18歳にはじめたときの初任給が残業代込みで20万円でした。
朝7時から夜9時まで毎日のように働いていたため、決して高い額とは言えません。
そこからしばらくは給料がほとんど上がりませんでしたが、現場でまじめに働く姿勢が評価されたことや親方から気に入られたこともあり、5年経った23歳ごろには月収30万円に到達しました。
子方として月収30万円はかなり貰っている方ですが、さらに稼ぐために親方として現場に出るようになったことで40万円まで月収を伸ばすことが出来たようです。
鳶の世界は実力主義なところがあり、年齢や学歴も関係ありません。
親方から認められれば数ヶ月でスピード昇進することも可能です。
若くても結構な額を稼ぐことができるのは大きな魅力と言えるでしょう。
肉体的・精神的にはきついが稼げる
しつこいようですが、鳶職は実力主義の世界ですから、学歴がなくても自分の経験を増やしてスキルを磨いていけば稼ぎも上がっていきます。
ただし子方として働き続けていると、歳を重ねるにつれて現場でせっせと働くのも体力的に厳しくなっていきます。
そのため鳶職人としてたくさん稼ぎ、長く働いていくためには親方になる必要があるでしょう。
鳶職のお仕事は辛いことも多いですが、それを承知の上で親方を目指したいという向上心の強い人は、日頃から親方が「どんな指示を出しているか」や「どういう段取りで動いているのか」を観察しておきましょう。
そうしておけば自分が親方になった時に、親方から見て学んだことは必ず活きてきます。
まとめ
今回はきついと噂される鳶職の仕事内容と、鳶職人のリアルな給料事情についてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
たしかに鳶職のお仕事は肉体的にも精神的にもきついです。
しかしその分、若くして一般的な水準よりも高い給料を貰うことができます。
きっちり仕事をこなして親方から認めてもらえれば、年齢や学歴に関係なくスピード昇進することもできる実力主義の世界なので、キツい仕事内容に見合った価値がある職業ですよ!