鳶職人といえば、独特のダボダボとしたシルエットのズボンを思い浮かべる人が多いと思います。
ニッカポッカという変わった名の付けられたズボンですが、なぜあのようにダボダボなのでしょうか?
鳶職ズボン『ニッカポッカ』とは?ニッカポッカの歴史
鳶職のあの独特なズボンは日本では『ニッカポッカ』という名称で広く知られていますね。
正式には英語で『Knickerbockers』と表記され『ニッカーボッカーズ』と読みます。
ニッカポッカとは、ニッカーボッカーズの略なんですね。
基本的にひざ下まで丈があるゆったりとしたズボンで、鳶職人が仕事現場ではくときは、裾の部分を足袋の中に入れて使います。
ニッカポッカは鳶職人の必需品である足袋との相性が良いため、そのことも広く普及した要因のひとつといえます。
ニッカポッカが日本へ広まった当初は、長さがひざ下までで裾がくくられているため裾が邪魔にならず、野球やゴルフ、乗馬などのスポーツウェアとして活躍しました。
また、安価での大量生産が可能であったため、軍服としても採用されていたという歴史も。
その後日本でニッカポッカが広く使われるようになったのは、1900年代に入ってから。
工事現場の作業着としても動きやすいということで使用されて定着しました。
鳶職ズボン『ニッカポッカ』は何故ダボダボなの?理由は?
ニッカポッカがダボダボな理由は鳶職にとって欠かせない以下の4つの機能を持っていることが挙げられます。
1.股下に余裕があり足を動かしやすい
高所で足を高く上げたり膝を曲げたりして作業することの多い鳶職は、ズボンの素材によって足の動きが制限され、スムーズに動かないことがあっては大問題です。
ニッカポッカはダボダボとしていて股下に十分な余裕があるため足を動かしやすく、鳶職の作業服に選ばれる最も大きな理由となっています。
2.ダボダボはセンサーの役割
鉄骨の上などを歩くとき、足元に出っ張った障害物があるとニッカポッカのダボダボ部分が先に触れ、危険を察知できるというのもニッカポッカが鳶職の作業ズボンに選ばれている理由の一つ。
いわばこのダボダボがセンサーの役割を担っているのです。
3.風の強さを測り転落事故を防止できる
「ニッカポッカのダボダボ部分は風の影響を受けて危ないのでは?」とも思う人もいるかと思います。
それは正しい推測です。
実際に高所で作業をする鳶職人にとって風は大敵。
そのため逆にダボダボが風でなびき始めると危険を察知して作業を休むようにしたり、地上にいる作業員も遠くから高所の風の強さを確認できたりするといった利点があります。
高所で強風に煽られると転落事故に繋がりかねないので、風の強さを知ることは重要なんです。
4.高所でバランスをとりやすい
高所を歩くときのバランサーとしても、ニッカポッカのダボダボ部分が役に立ちます。
慣れると逆にニッカポッカ以外で高所に上がるのは怖いと感じるようになるほど、バランスに大きな影響を与えていたりします。
このように鳶職にとってもメリットが多いニッカポッカですが、最近では「足元が見えにくい」「強風を受けた際にバランスを崩しやすい」などといった理由から、高所での作業で使用するべきではないのではとの声も上がっています。
リスクを減らすためにも、ニッカポッカをはいて建設現場などで作業をする際は自身のサイズの合ったものを選び、その特徴をきちんと知っておくことが大切です。
まとめ
ニッカポッカが履かれる理由はあまり広く知られていませんが、実は鳶職にとってメリットが多いんです。
鳶職人の作業ズボンとして人気の高いアイテムです。安全のためにその特徴をきちんと知り、ぜひ活用してみてください。