一人親方は個人事業主と同じ扱いとされており、会社員として雇われている職人とはさまざまな違いがあります。
特に大きな違いを感じるのは保険や年金などの生活に必要不可欠な項目ではないでしょうか。
一人親方は保険に入ることができるのか?保険証を持つことはできるの?といった疑問の声はネット上でも多く寄せられており、気になっている方が多いようですね。
一人親方は保険証を持つことはできる?
結論から先に申し上げますと、一人親方は保険証を持つことができます。
しかし基本的には社会保険ではなく、国民健康保険になります。
前述したように一人親方は個人事業主と同一視される(※)ためです。
(厳密に言うと、一人親方は「労働者を使用せずに常態として単独で事業を行う者」、個人事業主は「法人とせずに、個人の資格で単独に事業を行う者」なのでそちらも認識しておくようにしましょう。)
労働者を雇用せず単独で仕事を請け負うことを常態とする一人親方(ただし法人の代表者を除く)は社会保険に加入できず、法定福利費の内訳明細(別枠記入)の対象からも除外されます。
しかし保険加入は国民の義務ですから、社会保険に入れない一人親方は国民健康保険(建設国保等を含む)に単独で加入しなければなりません。
また、元請け会社にとっては外注している一人親方を「労働者」と取って社会保険を支払うか「請負人」と取って個人事業主として申告してもらうか悩ましいケースも出てくると思いますが、これについては具体的な基準が示されていないため、働き方の実態をもとに判断する必要があります。
一人親方で社会保険に加入するケース
建設業界では若年技能者の処遇改善・若年層の労働力確保の対策として、厚生労働省と国土交通省が協同し、社会保険の未加入事業所をなくす取り組みが平成24年度より開始されました。
社会保険に加入義務があるのに加入していない事業所に対し、一定の指導期間を経ても改善がされなかった場合は最終的に建設業許可を取り上げるというものです。
この動きを受けて一人親方が工事を請け負う際、元請会社から「社会保険制度に加入しているか」と確認を求められる傾向が増えました。
社会保険に加入すべきであるのに加入していなかった場合には現場の入場制限等の措置を受けるケースもあるので注意が必要です。
しかし先に述べたように一人親方は基本的に個人事業主とみなされ、社会保険ではなく国民健康保険に加入します。
実は一人親方であっても国民保険に加入すべき場合と社会保険に加入すべき場合があるのです。
一人親方の場合は事業所が個人か法人かによってまず社会保険への加入判断がわかれます。
個人経営である一人親方の場合は、前述した通り社会保険に加入することができません。
したがって元請会社などから社会保険へ加入するよう指導が入った場合は、自身は法律上加入できない方に部類するという旨を説明するようにしましょう。
法人として事業をしている一人親方(いわゆる「一人法人」)の場合や、常用労働者の雇用人数が5人以上いる場合は社会保険への加入が義務となります。
また、一人親方が保険証を持つ場合は国民保険になると前章でお伝えしましたが、一人親方が法人の代表者や役員、監査役であり、法人から労務の対象として報酬を受けている常勤の役員である場合にも社会保険の加入が義務となります。
このように立場や該当する条件によっては一人親方でも社会保険の加入が義務となるケースもありますので、自身が国民健康保険にあたるのか、はたまた社会保険加入義務があるのかについてはお住まいの市区町村の役所や日本年金機構に確認するようにしてくださいね。
まとめ
今回は、一人親方は保険証を持つことはできるのかについて解説いたしました。
結論としては一人親方は保険証を持つことはできます。
ただし基本的には国民健康保険であり、社会保険ではありません。
しかし今回ご紹介したように一人親方でも社会保険加入が義務となるケースもありますので、今回の記事を参考に自身がどちらの保険適用となるか判断してみてください。正確にはお住まいの市区町村の役場や日本年金機構に確認するようにしてくださいね。