2019年2月1日の法改正により、2m以上の高さで安全対策が取れない場合は、原則としてすべてフルハーネス型の着用が必要になりました。
6.75m以下の高所作業であれば胴ベルト(一本吊り)も認められていますが、いずれにせよ新規格に対応した安全帯(墜落制止用器具)の使用を徹底しなければなりません。
新規格対応フルハーネス安全帯(墜落制止用器具)とは?
フルハーネス型墜落制止用器具(以下フルハーネス安全帯)は、高所作業中の墜落防止を目的とした安全装具のことです。
従来の呼び方であった安全帯から名称が変更されて「墜落制止用器具」になり、以前の安全帯よりも安全性能が大幅に向上しています。
(今回の記事では便宜上、新規格の安全帯をフルハーネス安全帯、旧規格のものを安全帯と表記させて頂きます。)
2022年1月2日以降は、旧規格の安全帯を使用することが禁止されているため、必ず新規格に適合したフルハーネス安全帯を着用してください。
フルハーネス型と限定したのは、胴ベルト型の使用が認められるケースを除いたすべての高所作業時にフルハーネスの着用が義務付けられるからです。
フルハーネス安全帯を使用するためには「特別教育」を受講する必要がありますから、まだの方は必ず受講してからフルハーネス安全帯を着用するようにしましょう。
新規格対応フルハーネス安全帯(墜落制止用器具)の選び方
フルハーネスには、ハーネス本体とランヤードがセットで売られている「一体型」のものと、別々で売られている「個別型」の2つがあります。
万が一壊れた時に一体型だと丸ごと変えなければなりませんし、長い目で見た時には個別型の方が経済的なので、今回はハーネス本体とランヤード、それぞれの選び方についてご紹介します。
ハーネス本体の選び方
ハーネス本体を選ぶ時に意識したいポイントの1つ目は、着脱のしやすさです。
フルハーネスの着脱方法には、ワンタッチ式とパススルー式があります。
ワンタッチ式は着脱が容易で非常に便利ですが、自分の体のサイズに合わせて調節する必要があるので複数人で使い回したい場合は不向きです。
パススルー式はワンタッチ式よりも軽量かつ安価で、複数人で使い回したい時にも便利です。
しかし、慣れるまでは着脱に時間が掛かってしまうというデメリットがあります。
2つ目に意識したいポイントは、動きやすさ・着心地です。
フルハーネスのベルトは大きく分けて、背中部分と太もも部分の2つがあります。
背中部分にはX型とY字型があり、X型は最もスタンダードで安定しています。
Y字型は腰回りが広く使えるので腰道具をたくさん付けたい場合にオススメです。
続けて、太もも周りのベルトには、V字型と水平型の二種類があります。
V字型は若干だが安価ですが、股に食い込みやすい設計になっています。
一方で、水平型であれば窮屈な感じもなく、動きやすいです。
また、個人差はあるが水平型の方が見た目が良いということで人気だったりしますね。
ランヤードの選び方
続けてランヤードの選び方についてです。
ランヤードを選ぶ際に気をつけたいポイントは3つあります。
1つ目は、ショックアブソーバーです。
ショックアブソーバーには第一種と第二種がありますが、基本的には第一種を選んでおけば大丈夫でしょう。
2つ目は、フックの個数です。
フックは一丁掛けのものと二丁掛けのものがありますが、ルール上は構造物にフックが一丁掛かっていれば問題ありません。
しかし、現場によっては二丁掛けが条件付けられている場合もあるので、二丁掛けの方が柔軟に対応できます。
最後に3つ目は、ランヤードの種類です。
ロープ式、伸縮式、リール式と様々ですが、安全性や作業性を重視するならリール式がおすすめです。
コストを抑えたい場合は若干作業がしづらいですが、ロープ式がおすすめ。
伸縮式はロープ式とリール式の中間という位置付けです。
まとめ
今回は「新規格対応フルハーネス安全帯(墜落制止用器具)の選び方」を徹底解説いたしました。いかがでしたでしょうか。
フルハーネス型安全帯は、製品ごとで様々な特徴があります。
価格だけにとらわれず、自分の求めている性能があるかどうかで選ぶようにしましょう。