足場材の中にアンチという部材があります。
足場の作業床部分に使われる部材ですが、他には踏板、足場板などがあり、混同されているかたも少なくありません。
それぞれの違いを整理して、正しく理解しておきましょう。
足場材のアンチとは?
アンチは、踏板・布板・床付布板などいろんな呼び方があります。
足場業界では「布」には水平、平らという意味があります。
つまり、アンチは水平方向に長い板ということですね。
水平方向に長い板という説明では足場板、踏板などのアンチ以外の水平材も当てはまりますが、それぞれには違いがあります。
違いについては後述しているので、このまま読み進めてください。
さて、アンチの名前の由来についてですが、由来は「アンチスリップ鋼板」から来ています。
アンチスリップ鋼板とはパンチング加工した鋼板のこと。
アンチにも同様の穴が作業床部分に空いていることから来ているのでしょうね。
アンチの特徴
アンチには3つの特徴があります。
1つ目が、鋼板の表面に無数の穴が空いていること。
穴が空いているので風に煽られにくいです。
2つ目が、鋼板の両サイドに建枠に引っ掛ける金属フックが付いていること。
建枠とは枠組足場の部材の一つで、簡単にいうと支柱が門型になったものです。
その建枠に金属フックを引っ掛けて足場を組み立てます。
3つ目が、金属製なので重量があり、頑強なこと。
アンチは強度が高く風通しも良いことから、高所作業にも向いています。
簡単にまとめると、アンチは枠組足場の部材の一つで、高強度・風通し良好な金属フック付きの作業床といったところでしょうか。
ただ、メーカーによっては踏板のことをアンチと表記していたり、メッシュアンチと表記している場合もあるため注意が必要です。
アンチと踏板のちがい
アンチとよく混同されるものに、踏板や足場板があります。
どちらの板にも両サイドに金属フックが付いており、正直違いがわからないという方もいるでしょう。
それぞれの特徴を以下の表にまとめてみました。
名称 | 特徴 |
アンチ | 枠組足場の建枠に引っ掛ける、重量があり頑強。主に高層建築などで使われる。 |
踏板 | 主に一側足場の単管パイプに引っ掛ける、メッシュ素材で軽い。 戸建て住宅など低層住宅の工事や、外壁塗装の際によく使われる。 |
足場板 | 番線やゴムで固定する、スチール・アルミ・木製などがある。 主に低層〜中層住宅で使われる。 |
違いをまとめると、踏板は一側足場で使用され、主に低層住宅の工事。
足場板は材質が複数あり、主に低層〜中層住宅の工事。
そしてアンチは枠組足場で使われ、主に高層建築の工事で用いられるという違いがあります。
アンチの種類
アンチの種類にはヨンマルタイプと呼ばれるものと、ゴーマルタイプと呼ばれるものがあります。
ヨンマルタイプとは作業床の幅が40cmのもの、ゴーマルタイプは幅50cmのものを指します。
平成27年7月施行の安全衛生法規則改定で新たな規定が定められたことで、
ヨンマル→ゴーマルになるのでは?という話になってるらしい。
アンチの寸法
寸法には以下の2つが用意されています。
- インチ規格
- メートル規格
上記2つは互換性がないので使用時はきっちり区別しておきましょう。
まとめ
今回は足場材の専門用語「アンチ」について詳しく解説いたしました。
いかがでしたでしょうか。
アンチとは、枠組足場の作業床として使われている水平材のことです。
特徴は作業床部分にポツポツと穴が空いていて風に煽られにくい、両サイドに金属フックが付いているなどがあります。
主に高層住宅の建築に用いられますので、ぜひこの機会に覚えておきましょう。