普段の作業で何と何気なく行っていることの中に、本当にこれで安全性に問題はないのかと不安を覚えるものがあります。
足場板の支持はどのくらいの間隔がよいのか、スパンに対して許容荷重を超えていないかなども危険に直結するものでありながら把握しきれていません。
足場板の支持間隔はどのくらいが適正?
足場板の支持間隔は、労働安全衛生規則 第二編 第10章 第2節の足場に関わる規則の第563条に支持間隔に関わる項目があります。
第1項第5号
つり足場の場合を除き、床板は、転位し、または転落しないように二以上の支持物に取り付けること。
ただしこれは一定の条件においては上記を適用しないと補足されています。
4(補足番号)
一 幅が二十センチメートル以上、厚さが三・五センチメートル以上、長さが三・六メートル以上の板を床材として用い、これを作業に応じて移動させる場合で、次の措置を講ずる時。
イ 足場板は、三点以上の支持物に掛け渡すこと。
ロ 足場板の支点からの突出部の長さは、十センチメートル以上とし、かつ、労働者が突出部に足を掛ける恐れのない場合を除き、足場板の長さの十八分の一以下とすること。
上記の労働安全衛生規則を元にした足場板の支持間隔の計算式を、足場板で3,600mm以上となる規格4,000mmの場合で割り出すと以下のようになります。
突出部(両端100mmずつのため)100mm×2=200mm
足場板全長(全長から両端の長さを引く)4,000mm-200mm=3,600cmm
中間支持物までの長さ(両端支持物からの長さ)3,600mm÷2=1,800mm
計算上、全長3,600mmを超える足場板の適正な支持間隔は1,800mmとなる訳です。
上記の計算式によって導き出される両端の支持物からが適正間隔となります。
・足場板全長4,000mmの支持間隔→1,800mm
・足場板全長3,000mmの支持間隔→1,300mm
足場板のスパンに対する許容荷重
足場板のスパンに対する許容荷重については、一般社団法人仮設工業会技術基準で確認することができます。
第2章『ビル工事用くさび緊結式足場の組立て及び使用基準』[2]使用基準(2)積載荷重①足場の最大積載荷重
第3章『単管足場」「1.主要部材の検討事項』3.作業床等(2)作業床の積載荷重
それぞれ「労働安全衛生規則に規定されている積載荷重以下(1スパン1層400kg)であること」と言及しており、1スパンあたり400kg以下になるようにしなければなりません。
労働安全衛生規則 第二編 第十章 第二節の第五百六十三条 二項イ
(作業床の)幅は、四十センチメートル以上とすること
という規定があります。
これを元に、一般社団法人仮設工業会技術基準の足場板の積載荷重を24cm幅の作業床で120kgを限度とした規定で計算すると、1スパンあたり240kgとなるのですが、実際には法令の定めた荷重よりもかなりゆとりを持たせた数字ですので、材質・構造を検査機関で精査した安全な積載荷重を満たす足場板を各メーカーが製造・販売しています。
以下に他メーカーの製品を比較した数字をあげてみました。
例1)鋼製足場板
A社(サイズ 40mm×250mm×4,000mm) 1枚あたり/150kg 1スパン 300kg
B社(サイズ 40mm×250mm×4,000mm) 1枚あたり/125kg 同上 250kg
例2)アルミ足場板
A社(サイズ 36mm×240mm×4,000mm) 1枚あたり/120kg 同上 240kg
B社(サイズ 32mm×240mm×4,000mm) 1枚あたり/120kg 同上 240kg
例3)杉足場板
A社(サイズ 35mm×240mm×4,000mm) 1枚あたり /114kg 同上 228kg
B社(サイズ 36mm×220mm×4000mm) 1枚あたり/111kg 同上 222kg
同サイズでの比較はできませんでしたが、スパンに対する許容荷重の差はこのように、メーカー・サイズ・材質・構造で大きく違いがあり、製造元は必ずスパンの許容荷重を記載しています。
足場板のスパンに対する許容荷重は、労働安全衛生規則により事業者が労働者に周知する義務を負っていますので、使用する足場板の許容荷重を超えることのないよう気をつけて使用して下さい。
まとめ
今回は足場板の支持間隔はどのくらいが適正なのか、スパンに対する許容荷重についても解説しました。規定の支持間隔を守り、使用する足場板の許容荷重以下であるかを確認しながら安全に作業をしましょう。