足場の組立は危険を伴う作業ではありますが、建設物の建造には欠かせない工程です。
できる限りの安全対策を行い、作業を進めなければなりません。
そんなとき重要となるのが安全のための点検です。
足場組立を行った後の点検は義務?
結論から申し上げますと足場組み立て後の点検は労働安全衛生規則(以下、安衛則)によって義務付けられています。
高所での作業を伴う足場工事は、基本的に危険ととなり合わせであることが多く、安全を守るための規則も多く存在します。
しかし残念なことに安衛則を遵守しない業者が多く足場の安全が確保されていないことによる倒壊や墜落といった事故が後をたちません。
そこで、二度にわたって法改正が行われてきました。
まずは、どのように改正されてきたのか確認していきましょう。
点検義務の改正点は以下の通りです。
①施行当時の安衛則
事業者の点検・補修義務・・・悪天候後、足場の組立・一部解体・変更後
注文者の点検・補修義務・・・悪天候後のみ
②2009年に改正された安衛則
事業者の点検・補修義務・・・作業開始前、悪天候後、足場の組立・一部解体・変更後
注文者の点検・補修義務・・・悪天候後のみ
(作業開始前を除く全ての点検時における記録・保存の義務あり)
③2015年に改正された=現行の安衛則
事業者の点検・補修義務・・・作業開始前、悪天候後、足場の組立・一部解体・変更後
注文者の点検・補修義務・・・悪天候後、足場の組立・一部解体・変更後
(作業開始前を除く全ての点検時における記録・保存の義務あり)
※注文者…足場の業者に足場の組立を依頼した業者(特定元方事業者)のこと
※事業者…その足場を使用する施工業者(法人または個人事業主)のこと
安衛則に定められている義務の内容を詳しく解説
これまでの安衛則がどのように変化してきたかを大まかに押さえたところで、現行の安衛則における点検義務の変化について詳しく見てみましょう。
2009年の改正では、作業開始前における墜落防止設備の点検・補修義務、悪天候・組立・一部解体・変更後の作業開始前の点検・補修義務に加え点検・補修結果の記録をし、保存することが盛り込まれました。
また、注文者についても悪天候後の点検・補修について記録・保存が義務化されました。
さらに2015年の改正により、注文者も悪天候・組立・一部解体・変更後の作業開始前の点検義務に加え点検・補修結果の記録をし、保存することが義務付けられました。
まとめると、その日の作業開始前に行う墜落防止設備の点検以外は、事業者・注文者ともに点検・補修・記録・保存の義務が課せられたことになります。
施行当時と現行の制度では、事業者・注文者ともに、点検・補修義務の範囲が広がっていますね。
また、点検時に点検表を用いて記録し、少なくとも足場の設置期間中ずっと保存しておかなければならないという面でも、墜落等による事故を少しでも減らそうという試みを読み取ることができます。
事業者・注文者ともに足場の点検を行うのは必然であり実施が義務化されていなければならない背景はよくわかりますね。
まとめ
足場の点検は義務付けられています。また、点検時に発見された異常について補修する義務、そして点検内容を記録・保存しておく義務など、様々な決まりが複雑に絡み合っています。それほど重要であるということですね。しっかり安全点検を行い、安心安全な職場環境を作っていきましょう。