吊り足場(ゴンドラを除く)、張り出し足場または5m以上の足場の組立、解体、変更の作業に従事する労働者の作業の指揮や安全管理をする人を足場の組立て等作業主任者といいます。
日本での死亡災害は、建設業が一番多いと言われています。
その中で足場からの転落事故をなくすために設置されたのが足場の組み立て等作業主任者の資格です。
足場作業の安全性を確保するためにこの国家資格の取得が足場工事の現場で必要とされています。
足場作業主任者になるための受講資格
足場の組立、解体、変更の作業に関する作業経験が3年以上で21歳以上の人が足場作業主任者になるための技能講習を受けることができます。
その他にも大学・高専または高校において、土木・建築・造船学科を卒業し(卒業証明書添付)、2年以上作業に従事した経験をもつ人、職業訓練法による養成訓練のうち、とび科の訓練を修了し、2年以上作業に従事した経験をもつ人が受講可能です。
受講料は16,000円ほどです。
合格基準は修了試験の全科目合計で60点以上、かつ各科目40%以上の正解率が必要です。
建設事業主などの団体などが作業従事者の雇用の改善や技能の向上等をはかるための取り組みを行った場合は建設事業主等に対する助成金を受けることができます。
建設労働者技能実習コース(賃金助成)といい、雇用保険被保険者数20人以下の事業主の場合、技能講習を受講した作業員一人一日あたり7,600円、それ以上の事業主の場合一人一日あたり6,650円の助成対象となりますので、厚生労働省のホームページなどで確認してみてくださいね。
足場の組立て等作業主任者の資格取得方法
技能講習の講師が「ここは覚えておいてください」とか、「ここは試験に出ます」など、最後の修了試験に出る箇所は、教えてくれます。
講習中に、ちゃんと聞いていれば、終了試験に落ちることはありません。
合格率はほぼ100%となっています。
テスト形式は3択か5択のものになります。
試験内容は
足場の組立て・解体・変更等の作業に関する知識
- 足場の種類と材料
- 足場の構造および組立図
- 足場の点検ほか
工事用設備・機械・器具・作業環境等に関する知識
- 工事用設備および機械の取扱い
- 器具および工具
- 電気ほか
作業者に対する教育に関する知識
- 作業者に対する教育および指導の方法
- 作業標準
- 災害発生時における措置
関係法令
- 労働安全衛生法
- 労働安全衛生法施工令
- クレーン等安全規則の関係条項
上記の内容です。
必出箇所は安全管理の注意事項です。
足場作業主任者は資格を取得するだけではなれない!
資格を取るだけでは足場作業主任者になることはできません。
会社から資格取得者の中から足場作業主任者の選任を受けなければ実際に主任者になることはできないのです。
関連法律も年々新しくなります。
古い知識のまま更新されていない足場作業主任者が足場を組んだら事故につながる可能性があります。
そこで、足場作業主任者は資格をとるだけでなく、能力向上講習というものもありますので、ぜひ更新がある際は引き続き受講してください。
特に10年以上前に技能講習を受けた方は能力向上講習を受けていないからという理由で作業主任者としての役割を認めない場合がありますのでご注意を。
足場点検実務者研修とは
足場点検実務者研修とは、
- 建設工事の施工管理の実務に従事した経験のある方
- 店社の安全衛生部門で足場の設置計画書の審査、工事現場の安全パトロール等の業務を担当している方
に対する安全衛生教育です。
建設業界において足場からの墜落による労働災害は現在も多数発生しており、死亡事故も多いです。
労働災害防止を目的として労働安全衛生法および関係法令において事業者は足場の組立て等作業について作業主任者を選任し、能力向上教育を受講させるよう規定されています。
足場点検実務者研修もその一環ですが、足場の組立て等作業主任者の能力向上教育は安衛法第19条の2に定める作業主任者等「労働災害防止のための職に従事する者」に対する能力向上のための教育であり、足場点検実務者研修は施工管理者等の管理監督者などが足場の点検を行うための研修であるという違いがあります。
災害事例及び関係法令について1時間、足場の組立て等の安全施工と保守管理について3時間の計4時間の講習を受けます。
建災防が提示している金額を例にとると受講料は6,500円、テキスト代は1,500円ですが、研修を実施している企業や協会によって多少差があります。
まとめ
今回は現場の安全を守るために重要なポストである、足場作業責任者になるための資格にの取得方法や足場点検実務者研修について詳しくご紹介しました。
足場の組立て、変更、解体には足場作業主任者が必要となります。
足場作業主任者になるためには技能講習と修了試験の合格が必要で、この講習は助成金の対象になります。
講習中に講師が注意事項を教えてくれるので特に安全管理の注意事項についてしっかりチェックしておくようにしてください。
そして足場作業主任者になるためには資格を持っているだけでなく事業主からの選任が必要なのでそちらも考慮しておいてください。