一人親方とは、従業員を雇わずに自らが作業を行う個人事業主のことを指します。
建設業をはじめとする多くの分野で活躍する一人親方は多く、働き方の自由度が高い一方、事故や怪我のリスクも個人で背負う必要があります。
あらゆるリスクに対処するため知っておきたいのが「労災保険」です。
労災保険は働く人が通勤中や業務中に事故や災害にあった場合に補償が受けられるものです。
しかし、労災保険は会社と雇用関係にある労働者に対して適用されるもの。
一人親方は労働者ではないため、通常の労災保険の適用外となります。
一人親方は労災保険に加入できるのでしょうか。
一人親方は労災保険に入れるの?
労災保険は労働者への補償をする制度のため、個人事業主である一人親方は基本的には加入できません。
建設現場で労災事故が起きた場合、元請会社や下請会社に所属する労働者は労災保険の対象になりますが、一人親方は元請会社の労災保険の対象になりません。
では、万一の事故や災害の際にどう備えればいいのでしょうか?
一人親方は労災保険の「特別加入制度」を利用することができます。
特別加入制度は、一般的な労災保険に加入できない方を対象に、国が特別に労災保険に任意で加入することを認めている制度のことです。
一人親方の労災保険の費用
労災保険への加入は自身の安全と将来を守るために重要です。
しかし、気になるのは、その費用ですよね。
一人親方の場合、特別加入制度を利用することになりますが、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
労災保険料は国が定めているため、どの団体の保険に加入しても料金は同じです。
労災保険料は、3,500円から25,000円までの給付基礎日額に応じて決まります。
年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)にそれぞれの事業に定められた保険料率をかけた金額になります。
詳しい数値や計算方法の例などが厚生労働省のこちらの資料に記載がありますので、一度チェックしてみてください。
また、保険料以外の諸費用は加入する団体によって異なります。
いくつかの団体と費用の例を挙げてみましたのでご参考にしてください。
⚫︎一人親方団体労災センター共済会
入会金 | 1,000円(保険加入時のみ) |
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会費 | 450円/月 (一括払いの場合は3,600円/月) |
労災保険料 | 給付基礎日額に準拠(加入月によって変動) |
⚫︎一人親方労災保険組合
入会金 | 1,000円(初回のみ) |
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組合費 | 500円×加入月数 |
労災保険料 | 給付基礎日額に準拠(加入月によって変動) |
⚫︎一人親方建設業共済会
入会金 | 5,000円(初回のみ) ※入会金無料キャンペーンあり |
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組合費 | 6,000円/年 |
労災保険料 | 給付基礎日額に準拠(加入月によって変動) |
一人親方が労災保険へ加入するメリット
一人親方として働くにあたって労災保険への加入は自身の安全と生活を守るためにも大切です。
労災保険に加入していると、仕事中に発生した事故などによる怪我や病気で働けなくなった場合に、治療費や休業補償などの経済的な補償を受けることができます。
これにより、万一の時にも経済的な不安を軽減し、安心して治療に専念することが可能になります。
また、労災保険への加入は、一人親方のクライアントからの信頼にも影響します。
クライアントや取引先は、安全管理が徹底されている事業者との取引を好む傾向にあります。
労災保険に加入していることで、ビジネスの信頼性が高まり、新たな仕事のチャンスを引き寄せることが期待できます。
結果として、一人親方のビジネスの拡大にも繋がるでしょう。
一人親方の労災保険への加入条件
一人親方が労災保険の特別加入制度に加入するための条件は以下の通り。
単独または同居の家族のみで事業に従事している
または労働者を年間100日未満しか使用しない事業主
労働者を年間100日以上使用することになった場合や雇用契約を結ぶことになった場合は、一人親方等の特別加入の対象からは外れます。
中小事業主等の特別加入に切り替える必要がありますので覚えておきましょう。
まとめ
今回は、一人親方は労災保険に加入できるのか、そして労災保険の費用や加入するメリット、加入条件について解説いたしました。
労災保険は、通勤時や仕事中の事故、病気による怪我や障害などを負った際に経済的な補償を受けられる制度です。
一人親方として働く方々にとって、労災保険は仕事に伴うリスクをカバーする重要な手段となります。
費用や加入するメリット、加入条件などを確認し、加入を検討してみてくださいね。