足場において「下さん」「中さん」という言葉がありますが、敬称の「さん」ではありません。「さん」の部分を漢字表記すると「桟」で、土台やハシゴなどに渡す横木を意味します。
わく組足場で交さ筋かいの下に取り付ける桟を「下さん」と呼び、単管足場で手摺（てすり)と床材の中ほど取り付けるものを「中さん」と呼びます。
実は10年ほど前には無かったもの。では、なぜ現在では取り付ける事になっているのか不思議に思われる人もいるかも知れませんね。
足場の「下さん」「中さん」とは何の役割があるの？
「下さん（したさん）」「中さん（なかさん）」は、平成27年に厚生労働省の労働安全衛生規則改正で取り付けが義務化されました。
平成21年以前の足場には手摺も交差筋かいもなく作業中の転落事故が非常に多かったため安全措置として取り付けが義務化されましたが、床材との隙間から転落する事故が後を絶たなかったのです。
そのため、手摺や交さ筋かいと床材の間に「下さん」「中さん」となる横棒を渡して隙間を小さくし、転落事故を防止する目的で取り付けが法制化された分けです。
「下さん」「中さん」は作業中の転落を防ぐ役割をしているのですね。
更に、実施する事が望ましい「より安全な措置」として、単管足場では「幅木」を追加する、わく組足場では「上さん」を追加するように推奨しています。
足場の「下さん」「中さん」のオススメ製品をご紹介！
安全対策として必要不可欠な「下さん」「中さん」のおすすめ製品を調べてみましたのでご紹介します。
ALINCO（アルインコ)社製
BR［M］シリーズ 1.800メーターで重量1.6Kg
素材 ペンタイト(溶融亜鉛メッキ合板)ドブメッキ。
特徴 メッキ層が厚く錆が生じにくく、耐食と耐久性に優れています。
BR［M］シリーズ インチ 610から1.829 メートル 600から1.800。
KYC（光洋機械産業）社製
MGRシリーズ 1.800メーターで1.7Kg
素材 溶融亜鉛メッキ
特徴 メッキ層に付着性が強い2層構造の保護皮膜が形成されているため耐食性に優れています。
（インチ、メーター、兼用で品番が違うので注意！）
FGRシリーズ（インチ)610から1.829
MGRシリーズメーター)（600から1.800
GRシリーズ（兼用)長さがインチ・メーター兼用のため重量はインチに準じます。
リーラック機材株式会社
RUシリーズ 1.800メーター兼1.829インチで1.46Kg
素材は微細粒熱延鋼板。
特徴としては世界で中山製鋼所以外に製造できない、金属疲労への耐性や耐磨耗性と寒冷地でも脆くなりにくい強靭さがある特殊メタルとして注目を集めているなどが挙げられます。
インチ・メーター兼用RUシリーズ 600～610から1.800～1.829。
足場材レンタル会社ではALINCOとKYCの製品の取り扱いが断然多いですね。
リーラック社が採用している素材は大変優秀なのですが、製造元が発売し始めたのが平成13年12月と比較的新しく、大手企業が足場材として広く採用するにはまだ時間が掛かるでしょう。
まとめ
高所作業現場での転落事故は「下さん」「中さん」が義務化された事で確かに以前よりは少なくなりました。
しかし、未だ高所作業で起こる事故案件の上位にあります。
平成28年度の国土交通省・厚生労働省の「建設工事における労働災害防止に関する説明会」で単管足場・くさび緊結式足場では手摺先行方式による2段手摺および高さ15センチ以上の幅木の設置を、わく組足場でも交さ筋交い手摺先行方式で2段手摺と15センチ以上の幅木設置を推奨しています。
慣れていると思っていても、細心の注意を払う事を忘れないようにして下さい。
