建物の修繕などで用いる「無足場工法」という足場の工法をご存知でしょうか?
読んで字のごとく、足場を設置せずに行う工法のことです。
無足場工法とは?
無足場工法とは読んで字のごとく足場を設置しない足場工法の一つです。
足場を設置しないので建物の景観を損ねることなく作業ができ、ベランダなどから部屋をのぞかれる心配もないため、居住者のストレスを軽減することができると近年取り入れる業者が増えてきました。
足場材も不要になるため、工事費用のコストダウンを図るために取り入れている企業も多いです。
無足場工法には「ロープ」と「ゴンドラ」という2種類の方法があります。
無足場工法ーロープを使用する場合
作業員がロープを通したフルハーネスを装着し、建物屋上の手すりなどにメインロープ、補助ロープを2本設置し、屋上から外壁をつたいながら作業箇所におりてきて作業をします。
無足場工法ーゴンドラを使用する場合
建物の屋上部分から吊り下げたゴンドラに乗り、上下左右へと移動しながら作業します。
ロープを使用するよりも安定して作業ができ、作業効率が良いので修繕箇所が広範囲にわたる場合などによく用いられます。
無足場工法のメリット
ここからは無足場工法のメリットをご説明していきます。
無足場工法のメリットは大きく4つあります。
足場代がかからないので工事費用が抑えられる
無足場工法では足場材を使用せず、足場の組み立てや解体の費用も不要になるため、工事費用を抑えることができます。
足場が組めないような狭い場所でも作業が可能
一般的に足場を設置する工法の場合、隣接する建物との距離が60cm程度空いていることが理想的です。
建物と建物の隙間など狭すぎて足場が設置できない作業箇所の場合、無足場工法であれば40cm程度の人が通れるスペースがあれば作業が可能となります。
以前は部分的な作業にも足場が必要でしたが、近年は狭い範囲の作業箇所の場合は無足場工法で行うところが増えてきました。漏水などの局所的な工事などでも、足場を設置せずに施工ができます。
足場を組む必要がないため工期が短い
無足場工法は足場を組んだり解体する作業がなく、施工期間が大幅に短縮できます。
足場を組む時間がいらないので、早急に修理が必要な場合でもすぐに対応することができます。
部分的なひび割れが発生した場合など小規模な修繕は効率的に作業が行えます。
景観を損ねず防犯面も◎
足場を設置すると工事がないとき第三者がその足場を使ってベランダなどに侵入するリスクがあり、防犯面に不安が残ります。業者は「関係者以外立ち入り禁止」など表記して防犯対策を施してはくれますが、休日や夜間は誰かが見張っているわけではないので心配ですよね。
無足場工法は足場を設置しないのでこのような心配がいりません。
また、無足場工法であれば部屋に入る日差しや風通しを足場で妨げることもなく、建物の景観も損ねません。
足場を設置する工法ではこうした防犯面や景観などの側面で居住者の快適を妨害してしまう可能性がありますが、無足場工法であればこういった心配はなく、作業をする建物の住民のストレスを大幅に軽減できます。
無足場工法のデメリット
続いて無足場工法のデメリットをご説明します。
無足場工法のデメリットは大きく分けて2つあります。
無足場工法が使えない工事がある
無足場工法にはロープを使う方法とゴンドラを使う方法がありますが、いずれもマンションの形状などによりロープやゴンドラを吊り下げるための器具の設置ができないことがあります。
無足場工法で対応できる業者が少ない
近年は無足場工法に対応できる業者が少しずつ増えてはきているものの、まだまだ取り入れている業者が少ないです。
作業箇所が小さかったり、工事予算を抑えたい場合に無足場工法はおすすめですが、対応している業者がなかなか見つからないことも多いです。
まとめ
無足場工法についてご説明しました。
まだまだ対応できる業者は少ないものの、近年は無足場工法で作業する業者も少しずつ増えてきています。
足場を組む工法と無足場工法、それぞれにメリットやデメリットが存在しますので、作業内容や作業箇所に合わせて柔軟に対応することが必要です。