建築業界で事業主として元請けから仕事を受けるためには建設業の許可が必要になる場合があります。
しかし、一人親方に建築業許可は必要ないという声や、そもそも取得できないなどの噂を聞くこともあるので、どちらが本当なのかハッキリせず困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「許可が必要であるにも関わらず受けていなかった」と後から発覚しては遅いですから、この機会に確認しておきましょう!
一人親方でも建築業許可を取ることはできるの?
最近では、元請から建設業許可を取得するように要求されることが多くなってきました。
建設業許可を取得することで社会的信用が高まるなどの理由も相まって、建設業の許可を取得される方が増えています。
そのため、建設業許可を取得しようか考えている方もいらっしゃると思いますが、その一方で「一人親方は建設業許可を取得できるの?」という疑問を耳にすることもあります。
一人親方は建築業許可を取ることが出来ないのでしょうか?
その疑問に対する答えを申し上げると、一人親方でも建設業許可は取得できます。
建設業許可を取得するためには以下6つの要件を満たしている必要があります。
- 経営業務の管理責任者が常勤でいる
- 専任技術者を営業所ごとに常勤で置いている
- 請負契約に関して誠実性を有している
- 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有している
- 欠格要件に該当しない
- 建設業を営む営業所を有している
尚、「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の両方の要件を満たしている人が同一営業所内にいる場合は、その人が一人で双方を兼任することが可能です。
一人親方でも建設業許可は取得できるのでご安心ください。
一人親方に建築業許可は不要なのか?
「一人親方に建築業許可は不要」という方もいますが、実はそうとは言い切れません。
請け負う工事が「軽微な建設工事」に該当するかどうかで建築業許可が必要か、不必要かが決まります。
軽微な建設工事の内容については国土交通省により、以下のように定義付けられています。
[1]建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
●「木造」…建築基準法第2条第号に5定める主要構造部が木造であるもの
●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
[2] 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
参照元:国土交通省「建築業の許可とは」
注意すべき点は、軽微な建設工事の金額は人件費だけでなく材料費も含めた金額であることです。
たとえば、材料が発注者支給の場合は、人件費に支給された材料費及び運送費分を加えて工事金額を計算します。
そのため、意外とあっさり軽微な建設工事の範囲を超えてしまう可能性があるのです。
請け負った工事が軽微な建設工事に当てはまるのかを毎回計算し、建設業法に違反してしまわないように注意してください。
違反すると罰金を科される場合もあるので注意
建設業許可を受けていない事業主が、軽微な建設工事の範囲を超える建設工事を請け負っていたことが発覚した場合、法律違反で罰せられる可能性があるので注意が必要です。
参考までに、建築業法では以下のように記されています。
建設業法
第四十七条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項の規定(許可が必要な場合)に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者
実際、軽微な建設工事を超える規模の工事を請け負ったがために逮捕されてしまった事例もあるので、この機会に自分が請け負っている建設工事の金額を確認しておくのが望ましいです。
そして必要であれば、建築業の許可を取得しましょう。
まとめ
今回は一人親方の建築業許可の必要性などについてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
一人親方に建築業許可が必要かどうかは、請け負う工事が「軽微な建設工事」に該当するかどうかで決まります。
軽微な建設工事を超える規模の工事を請け負ったことで逮捕されてしまった事例もあるので、もし、ご自身が請け負っている工事が軽微な建設工事である場合は必ず建築業許可を取得してくださいね。