一人親方として仕事をして一定以上の収入が安定して得られるようになると、個人事業主のままでいるか法人化するかが悩みどころになってきます。
個人と法人では税金対策、保険の種類、年金の受取額の差が大きく、将来的にどちらが自分にとって有利に働くのかで迷うのです。
一人親方が法人化するメリット
一人親方が法人化する最も大きなメリットは税金や個人に関わる経費の削減です。
詳しくみていきましょう。
所得税率の低減
個人事業主は売上から各種の控除などで残った分がそのまま所得ですから最高で45%の税率になりますが、法人は法人税・法人住民税・法人事業税を全て足しても34.62%です。
会社からの役員報酬は一定金額が必要経費扱いになり給与所得控除を受けられます。
家族を役員にして報酬を支払う場合も同様です。
経費項目の増加
自宅兼事務所は社宅に、自動車は社用車にするなど経費で落とせる項目が増えます。
退職金の取得
退職金制度を設けて退職金を受け取れるようにできます。
繰越損失の年数が伸びる
赤字額を利益が出た年に繰越し見た目の利益を減らした分の税金を免除される期間が個人事業主では3年間ですが、法人の場合は9年間に伸びます。
年金受給額の増加
事業主自身も社会保険に加入できるため、将来の年金受取額が増えます。
万一の時、個人に返済責任がない
仕入れ取引先、借入先への支払いができなくなった時に法人への出資額に関する部分以外は個人の返済責任がないので、固定資産を含む個人所有のものは差し押さえ対象にならなりません。
一人親方が法人化するデメリット
一人親方が法人化する場合のデメリットは、抑えられない支出があり、かつ高額なところです。
詳しく見ていきます。
社会保険加入
デメリットは支出額の増加が問題です。従業員が自分1人であっても健康保険・厚生年金への加入義務があります。
従業員がいれば前述の社会保険の他に雇用保険・労災保険の加入義務も加わり支出額の大きさが売上高に影響してきます。
法人税の納入
赤字の年でも法人住民税の均等割・地方法人税の支払いをしなければならなりません。
会計処理の煩雑化
会計処理が複雑かつ煩雑になるので、それらを処理できる事務専属スタッフを雇用するか、
税理士に顧問料を支払って会計をしてもらう必要が出てきます。
(会計ソフトで処理できれば決算・申告だけ税理士に依頼すると顧問料はかなり圧縮が可能です)
一人親方必見!2023年から始まるインボイス制度
これまで法人化を考えるのは年間所得が4,000,000円を超えた頃などと言われてきましたが、2023年から始まるインボイス制度により、適格請求書発行事業者の登録番号がある請求書でないと相手先は課税仕入れの消費税額控除が認められなくなります。
つまり、課税事業者は免税事業者と取引をすると損益が出るのです。
免税事業者は適格請求書発行事業者登録をすることができませんので課税事業者である法人になるか、免税事業者同士で取引するかを考える必要が出てきました。
一人親方が共同出資した形で法人化することもできるようですので、メリット・デメリットの両方の側面を考慮しながら考えてみて下さい。
まとめ
今回は一人親方が法人化するメリット・デメリットについてご説明しました。
法人化した場合は税金の控除、個人事業主では組合に加入して退職金にあたる積立てをしていたのが会社から退職金を支給される、将来の年金額が増えるなどのメリットがあるのですが、社会保険料が高くつくことや事務スタッフを雇用するか税理士に依頼を考えなければならないくらい会計処理が複雑になることなどがありました。
一人親方が法人化するメリット・デメリット、最後に触れたインボイス制度合わせて、法人化を図るかどうかの参考にして下さい。