建設業では、人を雇用するのではなく必要な時に必要な数だけの労働力を外注(アウトソーシング)するケースも多いですよね。
外注に関してよく議論になるのがいわゆる「ピンハネ」問題です。
「一人親方にピンハネされた」「ピンハネは法律違反ではないのか」と不満を抱く人の声がネット上にもよく上がっています。
ピンハネって何?
ピンハネとは他人の手に渡るべき金銭などの一部を取って自分のものとする行為のことです。
「ピン」はポルトガル語で「一部」「一割」を意味する「pinta」という言葉が由来で、「ハネ」は「上前をはねる」という言葉からきているようです。
例えば元請けから従業員の日給として18,000円を支払ってもらえる場合に従業員の日給を12,000円とすると6,000円が自分の取り分として残ります。
このように従業員の日給を減らして自分の取り分を作る行為を「ピンハネ」と呼ぶことも多いです。
一人親方によるピンハネは違法?どんな法律に違反するの?
ネット上には以下のようにピンハネされたと不満を抱く方の声が散見されました。
Aさんの例をご紹介します。
一人親方のもとで仕事をしています。
元請け会社からは一日16,000円を請求しているのに私には日給10,000円しか支払われません。
6,000円×20日間と、1ヶ月で約12万円もピンハネされているのです。
この一人親方のピンハネは違法ではないですか?
このように一人親方にピンハネされたと不満を抱いている従業員は多いようですが、一人親方によるピンハネは違法なのでしょうか?
結論から申し上げますとピンハネは違法ですが、必ずしも全てのケースがピンハネに該当するとは言い切れません。
ピンハネが違反している法律は労働基準法です。
労働基準法の6条には「何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として 他人の就業に介入して利益を得てはならない」という規定がされています。
噛み砕くと人の仕事で中間マージンなどを取ってピンハネしてはいけません、というわけですね。
では先ほどの一人親方にピンハネされた!とする方のケースはどうでしょうか。
大抵の場合、先のようなケースでは法律違反にはあたりません。
一人親方が元請け会社から受け取っている16,000円は必ずしもAさんの日給とは限らないからです。
元請け会社が人手が足りなくて困っている時に一人親方が人工貸しを行い、そのお礼や対価として報酬が支払われますが、そのお金には一人親方がAさんという人材を募集し、管理している間接的な経費なども含まれます。
元請け会社が一人親方に支払った金額がまるまる労働しているAさんの日給になるとは言い切れません。
そのため不当なピンハネにあたり法律違反であると司法などで判断されない限りは一人親方によるピンハネに違法性は認められませんし、そもそもピンハネと呼ぶのが適切かも微妙なラインというわけです。
かといってもちろんピンハネされている、違法ではないかと疑問を抱いた際には一人親方に確認を取ったり、場合によっては労働基準監督署に相談に行くと良いでしょう。
違法性が認められるとみなされれば労働基準監督署から是正勧告が通達され、今後の待遇を見直すきっかけとなります。
おかしいなと思った場合には泣き寝入りせず、然るべきところに相談してみてくださいね。
まとめ
今回は、一人親方によるピンハネは違法なのか?どんな法律に違反することになってしまうのかご説明させていただきました。いかがでしたでしょうか。
一人親方によるピンハネは労働基準法の6条に抵触します。しかし多くの場合、元請け会社から支払われるお金が全て労働者の日給に値するとは言い切れません。一人親方が人材を管理している諸経費を考慮して元請け会社に請求していると考えられるからです。
その場合は中間に入ってお金を一部取られていたとしても不当なピンハネとみなされず、法律違反に当たらない可能性もあります。
もし自身の日給がピンハネされているのでは?と疑問に感じた場合は一人親方にきちんと確認を取ってみましょう。それでも納得ができない、違法性を感じるという場合には労働基準監督署など然るべき外部の機関に相談してみることをオススメします。