余程の高所得者でなければ個人事業主が税務調査になったという話は聞きません。
そういうこともあってか、確定申告をしない一人親方が一定数いるようです。
所得額が多くないから申告するほどでもないだろうし、税理士に頼むと依頼料が高いくソフトをダウンロードしても申告書の書き方が分からないから面倒になって何年も放置していても、税務署は本当に調査に来ないのでしょうか。
一人親方が収入をごまかし続けると税務調査になるのか【無申告】
国税庁は個人事業主に税務調査が入る割合は1.1%と公表していますが、優先的に税務調査の対象とする業種というものがあります。
その中で「職別土木建築工事」はトップ9、とび工事は他の職業に混ざって1件あたりの申告漏れ所得額が約9,700,000円と10位に入っています。
そういう実績がありますから建設関係の一人親方はチェックされやすい傾向にあります。
税務署には毎年、個人事業主や法人から提出された賃金の支払い調書や取引先との間で生じるお金の動きなどの情報が蓄積されています。
それらの資料や住民税ほか在住地域に納税された金額などから逆算して無申告が発覚する例が多いのです。
無申告の年に税務署から何も言われなかったからといってごまかせたと思ってはいけません。
連絡をするまでの間に元請や備品の購入先など関係各所で調査を行い証拠を集め分析し、十分な裏付けを取った後、無申告に対する税務調査に入ります。
一人親方が収入を無申告でごまかし続けると税務調査が入り罰則を受ける可能性が高いです。
無申告で収入をごまかし続けていた場合の罰則
税務調査で無申告が分かった場合の罰則がどんなものであるかを解説しておきましょう。
まず、無申告加算税が掛かります。
これは本来支払うべき税金額への上乗せで500,000円までは15%、500,000円を上回っている金額には20%が加算されます。
例)本来払うべき税金が700,000円の場合
700,000円 +(500000円×15%)+(200000円×20%)= 815,000円
次に法定納付期限の翌日から完納する日までの日数に応じた割合の延滞税が加算されます。
納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは年7.3%、2ヶ月を超えると年14.6%の加算です。
計算式
本来の税金×7.3%×62日=納期限2ヶ月経過までの金額
本来の税金×14.6%×完納の日までの日数=納期限2ヶ月経過以降の金額
納期限2ヶ月経過までの金額+納期限2ヶ月経過以降の金額=延滞税の金額
本来の税金 + 無申告加算税金額 + 延滞税の金額 = 今回納税すべき金額
売上が10,000,000円を超えている場合は消費税課税事業者となっていますから、取引によっては10%の消費税が掛かるものがあるかもしれません。その場合は上記の計算に更に加算となります。
このように計算するのさえ恐ろしい金額に膨れ上がってしまう訳です。
しかも無申告は過去の税金を一括納税するのが基本であり、もしも税務署が分割納税に応じないとなると滞納処分、いわゆる差し押さえが行われます。
まとめ
今回は一人親方が収入を無申告でごまかし続けると税務調査になるのかをご説明しました。
税務署は収入を無申告でごまかし続けようとしても必ず摘発します。
そしてごまかしてきた年数分の税金に無申告加算税、延滞税、10000000円以上収入があれば消費税分も足した金額の納税を迫られる訳です。
一括で支払えず滞納処分を受けると仕事をすることもできなくなってしまいますので、毎年きちんと適正な申告をして、本来必要のなかった加算税を支払うことのないように気を付けましょう。