建設業界で働く方であれば現場での作業だけでなく書類作成などのデスクワークが多いこともご存知かと思います。
グリーンファイルは作業員の安全や権利を守るために必要な書類ばかりなので書き方も正しく知っておく必要がありますね。
「作業員名簿を作らなければいけないが書いたことがない」
「周囲に教えてくれる人がいないので自分で書き方を調べなければ・・・」
という方も多くいらっしゃるかと思います。
作業員名簿とは
グリーンファイルは労務安全書類のこと。
作業員名簿はその労務安全書類の中の一つで、現場に入る作業員を管理するために必要な書類です。
書類のフォーマットは一般社団法人全国建設業協会によってまとめられた全建統一様式が基本です。
全建統一様式の中でも過去に作られた「全建統一様式2号」と新しい「全建統一様式5号」があるので、まずこの様式から確認する必要があります。
また、提出する元請の建設会社によっては独自のフォーマットがあり、元請の指定するフォーマットを使わなければいけない場合もあるので、作成する書類のフォーマットは元請けに事前に確認しておきましょう。
現場の名簿に記載されていない新たな人員を配置する場合、作業員名簿は作り直して再提出しなければなりませんが、以前に提出した名簿にも記載されている作業員の名前は省略可能です。
追加になった人員の分だけを記載し、残りの作業員は「以下略」としてOKです。
また、作業員名簿は名簿のみ提出すれば良いわけではなく、記載内容を証明する書類も一緒に提出しなければいけません。
免許、資格証のコピーなども併せて提出する必要があります。
18歳未満の作業員がいる場合は年齢証明書(住民票記載事項証明書)も添付が必要です。
社会保険などの保険加入状況を別紙で出す場合は、そちらも提出を忘れないようにしてください。
添付書類については元請会社によって必要書類が異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
【2020年最新】グリーンファイルの作業員名簿の書き方
この記事では全建統一様式5号の作業員名簿の書き方をご説明いたします。
元請の会社から別途フォーマットについて指示があった場合は元請の指示に従って記入してくださいね。
それでは具体的に書き方をご説明いたします。
事業所の名称
「工事を実施する作業所」もしくは「工事名称」を記入します。
例)◯◯作業所、◯◯新築工事、◯◯ビル改修工事
所長名
所長名には元請の現場代理人の名前を記入します。
一次の会社ではなく、元請の会社の現場管理人なので注意してください。
作成日
作業員名簿を作成した日付を記入します。
一次会社名
作業員名簿を提出する一次請けの会社名を記入します。
会社名の代わりに一次の会社の現場代理人の名前を記入してもOKです。
自社会社名
自社会社名を記入します。
自社名の横にある自社が何次請けかを記入する欄は記入し忘れやすいので注意してください。
会社名の代わりに自社の現場代理人の名前を記入してもOKです。
提出日
提出日が確定している場合はその日付を、確定していない場合は空欄にしておいて提出時に記入しましょう。
氏名・ふりがな
氏名の漢字など表記が間違っていると現場入場時に身分証明書と照合ができず、現場に入場できないこともありますのでご注意ください。
免許証や資格証明書の写しを確認しながら正確に記入しましょう。
職種
該当の職種を記入します。
職種は会社によって呼び方が微妙に異なりますが、「型枠大工」「電気工事工」「とび工」「オペレーター」などその作業員が該当工事においてどんな役割を担うのかが伝われば大丈夫です。
※(特記事項)
ぱっと見何を書けばいいのか分かりづらい項目ですが、作業員の役職や属性について記号で記載する項目です。
紙面の下部に解説がついているので参照しながら該当する記号を記入しましょう。
例)現場代理人には(現)や、主任技術者の場合は(技)、18歳未満の場合は(未)など。併記することもあります。
雇入年月日
該当する作業員を会社が雇用開始した年月日を記入します。
雇用形態は関係ありませんので、アルバイトとしてや個人事業主としてなど従事した年数の合計を記入してください。
経験年数
自社に勤務している年数ではなく、現場で担当している業務の経験年数を記入してください。
生年月日
生年月日を記入します。
和暦・西暦は問われません。
年齢
18歳以上であれば年齢を記入してください。
18歳未満の作業員の場合は元請に年齢証明書(住民票記載事項証明書)などを見せる必要があります。
労働基準法により、18歳未満の時間外労働および危険有害業務への就労は禁止されていますのであわせて留意しておきましょう。
また、15歳未満に関しては15歳に達した日からその年の3月31日までは土木、建築、その他の工事およびその準備に関わる業務に従事することができませんのでこちらも参考までに。
住所・電話番号
作業員の現住所と電話番号を記入します。
緊急連絡先
作業員に労災などが発生した場合の緊急連絡先となります。
両親もしくは配偶者など近親者の連絡がつく電話番号などを記入しましょう。
最近の健康診断日
労働安全衛生法により雇入れ時および年に1回の健康診断の実施が義務付けられています。
安全衛生法施工令第22条に規定されている有害業務従事者は一般健康診断を6か月ごとに一回受診する必要があります。
血圧
最低・最高の血圧を記入します。
血液型
血液型を記入します。
特殊健康診断日と種類
有害業務従事者は半年に1回特殊健康診断を受けることが義務付けられています。
該当しない場合は空欄で構いません。
特殊健康診断の例
じん肺
有機溶剤
鉛
電離放射線
特定化学物質
高気圧業務
四アルキル鉛
石綿
保険加入状況
保険加入状況の欄には、健康保険や年金保険、雇用保険の3種類に関して加入しているものの種類と被保険者番号の下4桁を記入します。
後期高齢者などで、健康保険に加入していない場合や年金を受給している場合は「適用除外」や「受給者」と記入します。
年金保険の場合は保険番号を記入する必要がないため、はじめからその欄が割愛されているか、斜線が引かれている場合があります。
雇入・職長・特別教育
全ての作業員は雇入時に教育を受けるため、「雇入時教育」を全作業員分記入します。
「職長教育」や「フォークリフト」など受講した場合は特別教育の欄にも記入します。
技能講習
技能講習とは各都道府県の労働局に登録されている教育機関で受けた講習のことを指します。
特別教育と混乱しやすいので注意が必要です。
該当するものがない場合は「なし」と記入します。
免許
所持している免許を記入します。
免許は試験を受けて合格したものを指すため、特別教育や技能講習のようなセミナー受講形式のものは含まれません。
送り出し教育実施年月日
新規入場者教育を実施した日付を記入します。
記入時点では不明な場合も多いため、印刷後に記入してもOKです。
受入教育実施年月日
受入教育実施年月日の欄には、当該教育を実施した年月日を記入します。
この教育は新たに建設現場で作業することになる下請業者の労働者に対し、工事の概要、現場の状況、現場における安全性について教育するもので、元請業者が実施します。
そのため実施年月日は元請け業者の担当者に確認する必要があります。
まとめ
今回はグリーンファイルの作業員名簿の書き方について詳しく解説いたしました。
注意が必要な点に重きをおいて解説しておりますので、作業員名簿を作成する際ぜひ参考にしてくださいね。