建築現場における労働災害、特に転落事故による死亡事例件数はいまだに多いのが現実です。
そのため国はフルハーネス型安全帯の使用を義務付けるなど、労働災害を減少させるために規定を改正しました。
足場組み立ての現場において安全帯の使用はとても重要です。
使用目的や正しい使用方法について理解を深めておくようにしましょう。
足場組立で必須の安全帯とは?
安全帯とは厚生労働省告示の「安全帯の規格」に定められた墜落防止用保護具のことです。
2m以上の高所作業時においては、墜落を防止するため足場等の作業床の設置が必要となりますが、それが困難な場合、安全帯の使用等の対策を講じることが労働安全衛生規則で義務付けられています。
安全帯には、胴ベルト型安全帯とハーネス型安全帯があります。
胴ベルト型安全帯は腰に装着して使用する安全帯で、着用時の簡便性などもあり、長年にわたって一般的に使用されてきています。
安全帯の90%以上が胴ベルト型安全帯でしたが、近年労働災害を減らす目的の元改正された規定によってフルハーネス型の着用が義務付けられました。
そのため今後は胴ベルト型安全帯ではなくフルハーネス型安全帯に移行していく予定です。
ハーネス型安全帯は複数のベルトを肩部、腿部等に装着して使用する安全帯です。
墜落阻止時の衝撃荷重を複数のベルトで受けることによって人体に負担の少ない安全帯です。
安全帯はランヤードを取り付けて使用します。
ランヤード、身体に着用した安全帯と 親綱等の取付設備を連結することで墜落防止を行う部材です。
フックの掛け替えが多い作業ではランヤードを2本備えた安全帯(二丁掛安全帯)が建設業を中心に広く使用されています。
足場安全帯の使用方法(フルハーネス型安全帯)
厚生労働省が2018年度から2022年度までを期間とする「第13次労働災害防止計画」をまとめ、その中で建設業の労働防止対策の重点施策として建設業界の死亡事故でもっとも多い「墜落・転落」を防止するためにフルハーネス型安全帯の着用を義務化しました。
なので今回はフルハーネス型安全帯の使用方法をご紹介します。
- ランヤードを使用する場合、装着前にD環に取り付ける
- 肩ベルト部に腕を通す
- 腿ベルト(2本)をバックルで連結する
- ベルトの長さを調節する
- 胴ベルトを 締める
- 胸バンドをバックルで連結し装着完了
注意事項
使用前は必ず取扱説明書を読み各部に異常がないか点検するようにしてください。
一項目でも廃棄基準に該当するものは使用しないようにしましょう。
一度でも墜落などによって大きな荷重が加わったものは廃棄してください。
また、ベルトが捻れていないこともしっかりと確認して使用しましょう。
厚生労働省が提供している以下のフルハーネス型安全帯の使用マニュアルも安全のため目を通しておくようにしてくださいね。
足場の安全帯の使用目的
厚生労働省が発表している平成元年から建設業の労働災害による死亡者数の推移を見てみると建設業の労働災害による死亡者数は中長期的には減少しているものの、ここ数年は減少が鈍化していて未だに300名以上の死亡災害が発生しています。
建設業における死亡災害は30%以上を占めており、最も死亡災害の多い業種となっています。
また、墜落・転落による死亡災害が42%と最も大きな割合を占めています。
このような墜落・転落による死亡災害を減らすため、足場の安全帯の使用が義務付けられているのです。
自分自身の命やともに作業をしている作業員の安全を守るためにも、足場の安全帯の使用方法などについては作業に入る前にしっかりと理解を深めておく必要があります。
フルハーネス型安全帯の着用義務化に関する情報は以下の記事に詳しくまとめてありますのでぜひご一読ください。
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【足場安全帯】足場工事でフルハーネス型安全帯が義務化!その背景や正しい使用方法についてご紹介
足場の安全帯の価格
メーカーや仕様によって異なりますが、相場としては2〜4万円前後です。
楽天市場などでは1万円台から販売があります。
足場用品の専門メーカーの商品になると3〜4万円台が平均的です。
命に関わる安全装備ですので、仕様などについてきちんと確認の上、現場や用途に適した安全帯を購入するようにしましょう。
まとめ
今回は足場組立に必須の安全帯とは何かご説明するとともに、使用する目的や価格についても詳しく解説いたしました。足場や屋根からの転落による死亡事故は未だに多いのが問題点として挙げられています。自身の命やともに働く作業員の安全を守るためにも足場安全帯の正しい使用方法を理解し、使用目的についてもしっかりと認識した上で現場の作業に臨むようにしましょう。