建設業は常に危険と隣り合わせな環境なので、怪我をしたり、最悪死に至ることもあります。
2018年には、まだ10代の鳶職人が足場から落下して死亡してしまうというショッキングな事故が実際に起きてしまいました。
鳶職における様々な事故のなかでも「転落・墜落」には最も気をつけなければなりません。自分の身を守るためにも、子方の命を守るためにも、しっかりと転落・墜落事故の防止に努めましょう。
鳶職のリアルな死亡率はどのくらい?
鳶職のリアルな死亡率を調査した結果、死亡率自体は公開されていませんでした。
そこで、概算ではありますが、東京都の死亡災害データなどをもとに計算してみました。
まず、日本国内の就業人口は5,660万人です。
そこから絞り込んで、建設業全体の就業人口では560万人。
このことから日本では、働いている人の約1%の人が建設業で働いていることが分かります。
ざっくりとした値を計算するために、東京都に限定して考えてみましょう。
東京都全体の就業人口は810万人。
うち建設業は81万人です。
そして、東京都の建設業で発生した2019年(令和元年)の転落事故者数は8名。
つまり、81万分の8ということですから、東京都内での転落による死亡事故率は0.000988%となります。
東京都で働く建設業界の就業人口は全体の約1/7ですから、この値を単純に7倍したとしても、死亡率そのものの値は1%を下回る計算になります。
さらに、これは建設業界全体での数値になりますから、鳶職に限って言ってしまえば死亡事故の発生率自体はかなり低くなっていると言えそうですね。
しかし死亡事故に多いも少ないもありません。
建設業界内において、死亡数が一番多いのは「墜落・転落」であることは事実ですし、明日は我が身と思って備えることが重要でしょう。
転落事故を防ぐための対策を紹介
鳶職の転落事故を防ぐためにできる対策は以下の3つです。
- 安全帯の装着
- 転落防止ネットや防護柵などを使う
- 保険に加入する
それぞれ解説していきます。
安全帯の装着
現場で最も有効な転落事故への対策は「安全帯の装着」です。
安全帯はいわば鳶職人にとっての「命綱」ですから、しっかりと固定された指示物にフックをかけ、転落や墜落を防ぐことは必須と言えます。
また、急に強風に煽られたり、雨や雪など天候の影響で足を滑らせてしまう可能性もあります。
状況によっては作業を中止したり、延期するなどの対応も必要でしょう。
転落防止ネットや防護柵などを使う
転落防止ネットや防護柵を設置するのも有効でしょう。
万が一落下してしまったとしても、ネットが落下時の衝撃を和らげてくれます。
建設現場では、安全帯と転落防止ネットのセットで対策するのが基本ですので、安全基準に合わせて必ず実施しましょう。
保険に加入する
こんなことを言ったら元も子もありませんが、どれだけ備えていても起きてしまうのが事故です。
万が一に備えて保険に加入しておくことも、残された家族たちが生きていくためには必要な対策と言えるかもしれません。
特に親方は「保険なんて入らなくていい」と考えている人も多いのですが、そもそも対策とは万が一に備えるためにしておくものです。
鳶職は常に危険と隣り合わせの職業ですから、保険に加入しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は「鳶職のリアルな死亡率」や「転落事故を防ぐための対策」についてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
鳶職人の死亡率自体は非常に低い数値かもしれませんが、死亡事故に多いも少ないもありません。
明日は我が身と思って、必ず「安全帯の装着」や「防護ネットや防護柵」など落下防止策を取るなどして転落・墜落事故ゼロを目指しましょう。