足場工事などの現場には必ず現場の安全を守るために指揮監督を行うリーダー的存在の方がいます。
職長や班長といった名称で監督を行なっている方がいらっしゃるかと思いますが、それぞれどのような役割を持ち、どういった違いがあるのでしょうか。
職長の役割とは
職長とは、現場で作業員に対して指揮監督する人のことを指します。
職長は作業員の健康や現場の安全を確保するためにも重要な役割を担います。
作業現場では、様々な事業者、作業員が集まって一つのゴールに向かって作業を進めています。
人・物・資材が常に動いており、現場では危険も隣り合わせです。
作業員が自身の作業に集中してしまい、周りの動きに対する認識が薄くなると事故が発生しやすくなります。
そういった労働災害や事故などを防ぐため、そして現場の業務を円滑に進めていくためにも、作業員への指示出しや能力・体調を把握した上で適切な人員配置を行う存在が必要となります。
そのため現場で指揮監督をする職長は各現場に一人は必要とされています。
労働安全衛生法60条の規定により、職長資格を持たない者は職長になることはできないとされています。
職長は必ず職長教育を受けて、職長教育修了証を交付されている必要があるのです。
一人の職長が何人までの作業員を管理できるなど、指揮監督に関する明確な基準は設けられていませんが、大規模な現場等でいくつかのグループに別れて異なる作業を行う場合などは各グループに職長が一人就かなければいけない場合もあります。
職長は現場において、作業員の安全を守り、かつ現場での業務を効率的に進めるために指揮監督を行うのが主な役割です。
具体的には職長は主に以下の6つの役割を担います。
- 安全衛生管理・・・作業員が安全に作業を進められるように管理を行う
- 品質管理・・・より良い物を作るために成果物の確認や作業員に対して指揮監督を行う
- 工程管理・・・工程を把握し、適切な人員配置などを行い、現場が円滑に回るように管理を行う
- 原価管理・・・現場管理を通じてムダ・ムリ・ムラを無くし不要なコストを発生させない、効率的な作業を推進しより安く材料を仕入れる努力を怠らない
- 環境管理・・・作業場内外の影響を考慮し、不要物の処理、危険有害物の取り扱い、産業廃棄物などの適正処理の管理を行う
- 人間関係管理・・・作業員の体調などを把握し、適切な人員配置を行うとともに、作業が円滑に行われるよう、やる気が出る明るい雰囲気づくりなどを行う
班長の役割とは?職長との違いは?
対して班長はどのような役割を担っているのでしょうか。
班長はその名の通り、所属する「班」が最大の成果をあげるために必要な行動をするリーダーのことです。
具体的な業務については、会社や部署によって千差万別ですが「成果をあげる」「ある目的を達成する」という点については共通しています。
職長が現場や作業員の安全を守ることや作業効率の向上に重きを置いた役割であるのに対し、班長は自身の班が最大の成果を出すにはどうすれば良いのか?班のパフォーマンスがより良くなっていくよう改善していくにはどうしたら良いのか?を考えるのが班長の主な役割です。
また、職長が自身の管轄である現場を全体的に見ているのに対し、班長は特に自身が属する班を見ています。
まとめ
今回は、混同してしまいやすい「職長」と「班長」の違いについて、それぞれの特徴を元に解説いたしました。
いかがでしたでしょうか。職長は自身の管轄である現場全体を指揮監督し、作業者の安全や現場の作業効率の向上に重きを置いているのに対し、班長は自身が属する班という個別のグループを管理し、班のパフォーマンスが上がるよう考えるのが役割になります。