業務上発生した災害による被害を補償してくれる労災保険ですが、「労災保険は経費として計上していいのか?」という声をよく聞きます。
労災保険の会計処理は少し特殊であり、間違えやすい項目です。
もし処理を間違えてしまうと申告内容の修正を求められ、余計な手間が増えてしまう恐れもありますから、正しい考え方を抑えておきたいところです。
この機会にしっかりと理解しておきましょう。
一人親方の労災保険は経費にすることができるの?
一人親方の労災保険料を経費にすることはできません。
なぜなら、労災保険は法定福利費といって福利厚生費の一種に含まれるからです。
福利厚生費は法人が従業員のために支払う、給料やボーナス以外のお金であり、あくまで従業員を対象としています。
一人親方は雇用主であり、従業員ではありません。
そのため、従業員の生活の安定や向上を目的とする福利厚生費として、労災保険や生命保険といった費用を経費にすることができないのです。
労災保険は社会保険料控除
先ほど一人親方の労災保険料は経費にすることはできないことをお伝えしましたが、その代わりに「社会保険料控除」として確定申告で所得控除を受けることは出来ます。
少しややこしいかもしれませんが、労災保険料は社会保険料控除という形で、実質経費として計上しているのと変わらないというだけの話です。
「労災保険料は経費として計上できない」ことだけ理解しておけば大丈夫ですよ!
なお労災保険料は生命保険料や損害保険料とは違い、領収証など証明書類の添付は必要ありません。
労災保険料の処理方法
せっかくですので、労災保険料の帳簿上の処理方法についても確認しておきましょう。
たとえば、ある一人親方が労災保険料の5万円を普通預金から支払ったとします。
その場合は以下のような処理をします。
(借方) 事業主貸 50,000円 / (貸方) 普通預金 50,000円
事業用の資金から支払った場合は、以下のように「事業主貸」で処理をします。
(借方) 事業主貸 50,000円 / (貸方) 事業主貸 50,000円
確定申告時には社会保険料控除として、所得税確定申告書Bに記載します。
事業用の資金で支払った場合は、「事業主貸」で仕訳します。
加入団体に支払う会費は経費として計上できる
ここまで、労災保険は経費にすることが出来ないことを説明してきましたが、加入団体に支払う会費は諸会費として経費計上できます。
労災保険に関わるすべての費用を経費に出来ないわけではないので、加入団体に支払う年会費の処理には注意しましょう。
まとめ
今回は「一人親方の労災保険を経費にすることはできるのか?」についてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
一人親方の労災保険は経費にすることが出来ませんが、「社会保険料控除」として確定申告で所得控除を受けることはできますので覚えておきましょう。
また、加入している労災保険の団体に支払う会費は「諸会費」として経費計上できます。
一人親方の労災保険には、経費にできる項目とできない項目があり、間違えやすい点なので注意してくださいね。