危険を伴う作業で起こった災害や事故の事例を元に対策を講じているものの、現場でのヒヤリハットの場面と災害は高止まりを続けています。
そのため、厚生労働省は平成27年の安全衛生法改正により、危険を伴う作業をする業種に向けてリスクアセスメント活動の実施を努力義務として通達しました。施工計画書や作業計画書にリスクアセスメントを盛り込んで作成するようになったのは、この通達を受けてのものです。
では、どの部分がリスクアセスメントとして足場組立に反映されているのかという実施内容の詳細はあまり知られていません。
リスクアセスメントとは
まず、リスクアセスメントとは何かを説明しておきましょう。
「リスク」は、これから先のどこかの時点で悪い事象が起こる可能性を意味し、「アセスメント」は、対象あるいは事象が周囲に及ぼす影響の評価をすること、影響への対策を事前に予測・評価することを意味しています。
つまり「リスクアセスメント」とは、これから起こる可能性がある危険を事前に予測・評価するという意味で使われている言葉なのです。
足場組立のリスクアセスメントの実施内容
足場組立のリスクアセスメントは「災害0」ではなく「危険0」を目指しています。
それが足場組立の現場でどう活かされるのか、実施内容詳細を以下にまとめましたのでご覧下さい。
【危険予知活動】(足場組立の現場で定期的に行われている活動)
- 現場の作業にどのような危険要因があるかを把握
- 危険と思われるポイントはどこかを認識
- 作業担当者はどのように対処すればよいのかを検討
- 現場の職人同士で実施目標を決め作業する
1~4までを危険予知活動表に記録し反省点を踏まえて次の作業時に活かしましょう。
【リスクアセスメント活動】(危険予知活動表を元に行われる活動)
- 危険の洗い出しをして、何が、あるいはどこに原因があるのかを特定
- リスクの見積もり・評価(発生の可能性の頻度や災害の重大性を予測・評価)
- リスクを回避するために取れる実施可能な対策を考える
- 3の行動の結果、現場の危険回避として有効であったかを危険予知活動表から評価
- 4で有効性を確認した後、改善された部分に他のリスクが残っていないかを検討確認
- 5でリスクの可能性が見つかった場合は1~3までをやり直す
- 実施可能な改善策を取ったと仮定して、他にリスクが残っていないかを再度確認
リスクの可能性が発見されなくなるまで6と7の作業を繰り返す - 7で問題が確実に解消可能だと評価されたら9へ進む
- 文書に記録し作業の危険性を検討し改善策を盛り込んで施工計画書と作業計画書を作成
- 改定されたものをそれぞれ提出し、【危険予知活動】へ反映させる
まとめ
今回は足場組立のリスクアセスメントについて実施内容を詳しく解説しました。
足場組立の現場で、職人が安心して安全に作業できる環境を整備するリスクアセスメント活動は、元請けと下請けがお互いに行ってこそ効果が高まります。
厚生労働省からの通達は「努力目標」ではありますが、取り入れる会社は今後さらに増えていくでしょう。