労働災害を防ぐため、平成27年7月1日より足場の高さに関係なく足場の組立・ 解体又は変更の作業に係わる業務に携わる作業者に足場特別教育を受講させることが事業者に義務付けられました。
この足場特別教育には申請できる助成金制度があります。
足場特別教育に関する助成金まとめ!申請方法や受給額も
それではさっそく、足場特別教育が該当する助成金に何があるかを見ていきましょう。
申請方法や受給額も記載していますので、そちらも併せてチェックしてみてくださいね。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は中小建設事業主等が雇用する建設労働者に有給で技能実習を受講させた場合に、その経費や賃金の一部を助成する制度です。
対象となる講習は
- 足場の組立て等作業主任者技能講習
- 足場の組立て等特別教育
- フルハーネス型墜落制止用器具特別教育
などです。
- 受給対象となる事業主の要件は以下の通り。
- 資本金または出資の総額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下の建設事業主であること
- 建設の事業として、雇用保険料率12/1,000(令和2年度)の適用を受ける事業主であること
- 事業主からの業務命令で、建設労働者が受講すること
- 受講者が雇用保険の被保険者であること
- 受講者である建設労働者に、所定労働時間内に受講させ、その場合に支払われる賃金の額以上の賃金を支払っていること ※1
- 雇用管理責任者を選任していること
※1・・・所定労働時間外又は所定労働日以外の休日等に技能実習を受講させた場合には通常の賃金に加えて、所定の割増をした額の賃金以上の額を支給する場合に受給の対象となります。
また、助成金の種類は以下の3種類となっています。
- 経費助成・・・受講料や出張講習等にかかった費用に対する助成。
- 賃金助成・・・受講した労働者へ支払われる賃金に対する助成。
- 生産性向上助成・・・生産性要件を満たした場合に増額される助成。
助成額(受給額)は上記の種類によって異なります。
経費助成の助成額
①雇用保険被保険者数が20人以下の中小建設事業主
対象金額×3/4
②雇用保険被保険者数が21人以上の中小建設事業主
35歳未満の労働者 → 対象金額×7/10
35歳以上の労働者 → 対象金額×9/20
※被災三県の岩手県・宮城県・福島県は上記の①の中小建設事業主の場合は全額を助成し、②の中小建設事業主の場合は年齢に関係なく助成率は4/5となります。
※生産性向上助成は、対象金額×3/20を上乗せする
※中小建設事業主以外の建設事業主が、女性建設労働者に技能実習の行う場合は対象費用×3/5となる
※1つの技能実習について、1人あたり10万円が限度
賃金助成の助成額
①雇用保険被保険者数が20人以下の中小建設事業主
受講者1人につき7,600円(+2,000円)×受講日数
②雇用保険被保険者数が21人以上の中小建設事業主
受講者1人につき6,650円(+1,750円)×受講日数
※受講日数は20日分までが上限となります。
※( )内は、生産性向上助成の上乗せ金額です。
人材開発支援助成金の申請の流れ
助成金の申請の流れは受講する協会・団体によって多少異なります。
今回は一般財団法人中小建設業特別教育協会の受給手続きの流れを参考に掲載しておきます。
1.申請前の受給資格等の確認
助成金の申請を行う前にまず管轄の労働局またはハローワーク等で受給資格があるかどうかなどを確認します。
2.講習申し込み
足場特別教育の申し込みをします。
3.計画届の提出(講習日の3か月前から1週間前まで)
一般財団法人中小建設業特別教育協会は東京労働局で登録されている教習機関です。
登録教習機関等に委託する場合には計画届は不要ですが、念のため管轄の労働局またはハローワーク等に計画届の有無を確認してください。
※計画届は、講習日の1週間前までに提出しなくてはいけませんので、提出期限にご注意ください。
4.足場特別教育を受講
各都道府県にある会場で足場特別教育を受講します。
5.必要書類を送付する
必要事項を記載した書類と返信用封筒を同封し事務センターに送付します。
協会側で内容を確認した後、署名および捺印の上、返送があります。
6.所轄の労働局またはハローワーク等へ助成金の申請手続き ※講習後2ヶ月以内
一般財団法人中小建設業特別教育協会から署名および捺印の書類の返送がありましたら所轄の労働局またはハローワーク等で助成金の申請手続きを行います。
7.助成金の支給が決定したら受給(振り込み)され、完了
建設事業主等に対する助成金
足場の組立て等作業従事者特別教育に関連する助成金は上記の通りですが、それ以外にも建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)がありますので、簡潔にご紹介しておきます。
建設事業主等に対する助成金は前章でご紹介した人材開発支援助成金以外に以下の2つの種類があります。
建設事業主や建設事業主団体等が、建設労働者の雇用の改善や建設労働者の技能の向上等をはかるための取組みを行った場合に助成を受けることができる仕組みです。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、建設業における若年建設労働者及び女性建設労働者の確保を図り、もって建設労 働者の雇用の安定に資するとともに、中小建設事業主に対して建設労働者の雇用の安定を図るために必要な助成を行うための制度です。
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金の中にはさらに細分化してコースがあります。
雇用管理制度助成コース(建設分野)
建設業における労働者の雇用の改善を図り、もって建設労働者の確保並びに雇 用の安定に資するために中小建設事業主に対して必要な助成を行うための制度です。
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
建設業における若年労働者の確保及び育成並びに技能継承を図り、もって建設 労働者の雇用の安定、並びに能力の開発及び向上に資するとともに、建設事業主、建設事業主 の団体に対して、建設労働者の雇用の改善、技能の向上等を図るために必要な助成を行うための制度です。
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
建設業における労働者の労働環境の改善及び技能継承を図り、もって建設労働 者の雇用の安定、並びに能力の開発及び向上に資するため、中小建設事業主及び職業訓練法人 に対し、建設労働者の労働環境の整備や、技能の向上を図る場を提供するために必要な助成を行うための制度です。
まとめ
今回は、足場特別教育に関する助成金をまとめてご紹介し、申請方法や受給額などについてご説明いたしました。
いかがでしたでしょうか。助成金についてお調べの際はぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。