2022年1月2日からフルハーネス型安全帯の着用が義務化されましたね。
労働安全衛生法の改正によって、安全帯の名称が変更されたり、旧規格の安全帯が使用不可になる等、様々な変更点があります。
いくつか対処が必要な点もあるため、変更点および具体的にどのような対処が必要かなどをまとめていきたいと思います。
「フルハーネス義務化」によって何が変わる?厚生労働省の発表内容を元に解説
それではさっそくですが、フルハーネス義務化によって具体的に何が変更されたのかについて、厚生労働省の発表内容を元に解説していきたいと思います。
変更点1:名称の変更
1つ目の変更点は、名称が変わったことです。
安全帯という言葉に馴染みがあるかもしれませんが、これからは墜落制止用器具という名称に変更されます。
「新規格の安全帯=墜落制止用器具」と解釈してください。
また、名称の変更に伴い、安全帯の定義も少し変更されています。
旧規格では一本つりの胴ベルト型安全帯、U字つりの胴ベルト型安全帯、一本つりのハーネス型安全帯の3つが認められていましたよね。
しかし、新規格では、一本つりのハーネス型安全帯、または一本つりの胴ベルト型安全帯の2種類しか安全帯として認められていません。
変更点2:旧規格の安全帯が使用不可になった
2つ目の変更点は、旧規格の安全帯が使用不可になったことです。
先述の通り、墜落制止用器具(新規格の安全帯)として認められているのは、改正後の構造規格に適応した一本つりのハーネス型安全帯、または一本つりの胴ベルト型安全帯の2種類のみです。
旧規格の安全帯は、2022年1月2日以降は使用することが禁止されていますので、必ず新規格の安全帯をご着用ください。
変更点3:原則フルハーネス型の安全帯を使用しなければならない
3つ目の変更点は、6.75m以上の高所であれば原則フルハーネス型安全帯を着用しなければならなくなったことです。
ただし、6.75m以下の高所で、墜落時に地面へ到着してしまう恐れがある場合は一本つりの胴ベルト型安全帯を着用することが推奨されています。
また、現場によっては5m以上と5m以下を行き来するようなケースもあるかもしれませんが、その場合はフルハーネス型安全帯を着用しなければなりません。
(その際は落下距離を抑えられる、ロック付きのランヤードがオススメです。)
ハーネスの種類や体格によっても落下距離は変動するので、状況に応じて使い分けるようにしましょう。
変更点4:特別教育の受講が必要になる
4つ目の変更点は、フルハーネス型安全帯を使用するために特別教育の受講が必要になったことです。
ただし、全ての人が受講しなければならない訳ではありません。
「高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業を行う人」が受講対象になります。
上記の環境で業務を行うにも関わらず特別教育を受講していないと、罰金罰則を科されてしまいますので必ず受講してくださいね。
旧規格から新規格への買い替えであれば補助金制度を利用できる可能性も
万が一、新規格の安全帯を所有していないのであれば今すぐに購入する必要があるのですが、旧規格から新規格への買い替えであれば補助金制度が活用できる可能性があります。
その補助金制度が「既存不適合機械等更新支援補助金事業」というもので、交付決定を受けることができれば、墜落制止用器具の購入費用の一部を補助してもらえる可能性があります。
移行期間が過ぎていることもあり、令和4年度も既存不適合機械等更新支援補助金事業が実施されるかは不明ですが、実施された場合は積極的に活用しましょう。
まとめ
今回はフルハーネス安全帯が義務化されたことで具体的に何が変わったのかについて解説いたしました。いかがでしたでしょうか。
フルハーネス着用の義務化により原則、高所作業ではフルハーネス型安全帯を着用しなければならなくなりました。
その他にも、旧規格の安全帯が使用不可になりましたし、2m以上の箇所かつ作業床を設けるのが困難な場所での作業に従事している方は特別教育を受講しなければならないといった変更点もあります。
高さ6.75m以下で、墜落時に作業者が地面に到達する恐れのある場合を除き、必ず新規格のフルハーネス型安全帯を着用するようにしてください。