鉄骨工事とか足場を組んだりする人のことを「鳶」や「鳶職」といった具合に呼びますが、そもそもなぜ鳶というのでしょうか?
よく言われるのが、高所を飛び回るように作業をしている様子から鳶ということ
しかし、実際はまったく違うところから来ているという噂もあります。
ふだん何気なく使う鳶職の「とび」とは一体何なのか、気になるところです。
鳶職という名称の由来は?なぜ「鳶」というのか詳しく解説
鳶職という名称の由来は、江戸時代にまで遡ります。
江戸時代には「火消し」と呼ばれる職業があり、家の建築や火事の消火活動を行っていました。そんな火消したちが使っていたある道具が、鳶の由来になったとされています。
そして、その道具の名前が「鳶口」です。
鉄の棒の先端が、鳶のくちばしのように鋭くとがっていることから鳶口と呼ばれました。
江戸時代には現在のような放水技術はなかったため、火事の際にはその鳶口を使い、隣家や風下の建物を解体することで、火が燃え広がるのを防いでいたそう。
一応、火消しも家の屋根など高いところを飛び回るように動いていたので、「高所を駆け回る姿から鳶」という説も間違いではないと思いますが、ルーツは火消しの使っていた「鳶口」にありそうですね。
鳶職にも種類がある!
鳶職といっても様々なジャンルがあり、たとえば以下のように分類されます。
- 足場鳶
- 鉄骨鳶
- 重量鳶
- 送電鳶
- 橋梁鳶
同じ鳶職でも作業内容が結構異なるのですが、すべてに共通して言えるのは「高所で作業している」ということ。
いわば高所作業のプロフェッショナルであります。
仕事としては、「鳶にはじまり鳶に終わる」という言葉もあるくらいですから、建築現場のスムーズな進行を支える非常に重要な役割を担っているんですよ。
ひょっとすると「足場の組立なんて誰がやっても同じだろう」と思っている人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
鳶職の仕事は「カタチに残らない」。
だからこそ、いいのかもしれないですね。
とはいえ、現代の鳶職の仕事は一見地味な作業が多いですし、江戸の火消しのような華やかさは感じられないかもしれません。
せっかく組み立てた足場も最後には解体してしまうので、建築物のようにカタチとしても残らず、ちょっぴり報われない仕事でもあります。
しかし、カタチに残るモノだけが大切というわけではない、とも思うのです。
たとえば、思い出という名の「経験」はいつまでも色褪せることなく、自分の心のなかに残り続けますよね。
だから、いま鳶職人として活動しているみなさんも、これから鳶職人を目指すみなさんも、カタチに残らないものだからこそ大切にして欲しい。
自分が熱心に作り上げた足場は良い思い出として残りますし、手を抜いてしまった現場があると、心のどこかに必ず後ろめたさが残ります。
次の職人さん達の安全・安心のためだけでなく、自分たちの誇りのためにも、良い仕事をしつづけたいものですね。
まとめ
今回は鳶職という名称の由来や、なぜ「鳶」というのかについてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
どうやら鳶職の「鳶」は、江戸時代の火消しが使っていた「鳶口」という道具から来ている説が有力そうです。
鳶職といっても様々ですが、どの鳶も高所作業のプロフェッショナルであるという点では共通しています。カタチに残らない仕事ではありますが、残らないからこそ、誇りを持って取り組み続けたいですね。