ビルやマンションといった、高所で作業をするイメージがある鳶職人。
次の工程を担当する職人さんたちが安心・安全に作業ができるよう足場を組むことだけが仕事だと思っていませんか?
しかし、実際はひとくちに鳶といっても様々な専門分野があります。
たとえば「重量鳶」や「橋梁鳶」といった職種があるのですが、聞いてもイマイチ仕事内容がピンとこない方もいるでしょう。
鳶職は全部で6種類!それぞれの種類について詳しく解説
鳶職は専門分野のちがいによって、全部で6つの職業に分けられています。
ここからは、それぞれの職種について詳しく解説していきたいと思います。
鳶職のなかでも特に需要がある「足場鳶」
足場鳶は、鉄パイプや留め具、足場板などの部材を用いて、高所の作業現場には必要不可欠な足場の組立・解体を行うのが仕事です。
よく「鳶にはじまり、鳶におわる」と言いますが、鳶職人が真っ先に現場に入って足場を組み、さまざまな職人さん達が建設に関わる作業をします。作業が終われば足場は必要なくなるので、建築が終わった後に足場を解体して去っていきます。
カタチに残らない仕事ではありますが、足場鳶が足場を組まないと建築が進まないので、非常に重要な役割を担っています。
足場鳶は目にする機会も多いので、みなさんが持つ鳶職のイメージに一番近い職業かもしれませんね。
高層ビルやマンションなど大型建築現場で活躍「鉄骨鳶」
鉄骨鳶は、高層ビルやマンションなどの大型建築現場で、建物の基礎となる骨組み部分を組み立てていくのが仕事です。鉄骨部材をクレーンなどを使って吊り上げ、鉄骨をボルトなどで締めて固定していきます。
高所での作業になるため危険度は上がりますし、クレーンを使って鉄骨を自由自在に操るためには高い専門性が求められます。そのため、一流の鉄骨鳶になるためには長いあいだ現場で経験を積むことに加えて、さまざまな資格を取得することが求められます。
橋や高速道路などの工事に従事する「橋梁鳶」
橋梁鳶(きょうりょうとび)は、橋や高速道路、時には鉄塔やダムなどの鉄骨工事も行います。橋梁鳶も鉄骨を組むという点では「鉄骨とび」と同じですが、現場の下には海や川、道路や鉄道などが広がっています。鉄骨鳶よりも更に高い技術が求められるため、かなり専門性が高い職種です。
橋梁鳶と聞いて真っ先に思い浮かぶのが「黒崎建設」でしょうか。
彼らは橋梁鳶のスペシャリスト集団であり、レインボーブリッジや瀬戸大橋、さらには東京タワーの建設にも携わっています。
何でも東京タワーの建設時には、落下防止の安全帯などを付けない状態で高所での作業を行い、わずか1年半足らずで完成させたとか。
危険すぎて今では考えられませんが、彼らがいたからこそ日本のシンボルとなるような建築物が誕生したと言っても過言ではないのかもしれませんね。
時には数百トンの重量物を取り扱う「重量鳶」
重量鳶は、工場やビルの電気・空調・給排水といった設備工事の際に、建物内部に大型機械をクレーンなどを使って搬入し、設置するのが主な仕事です。
時には数百トンにも及ぶ大型機械や精密機械を扱うこともあるため、狭い搬入口から施設内に運び入れるのは困難を極めます。
他の鳶職とちがって高所での作業はそれほど多くありませんが、設置には数ミリ単位という精度の高さが必要です。
そのため、重量鳶という名前から受ける荒々しい印象とは真逆の、非常に繊細な作業が求められます。
電力の安定供給に貢献、インフラを支える「送電鳶」
送電鳶は「送電線架線工」とも呼ばれる、高所で作業する電気工事士のことです。
発電所から発電された電気は、鉄塔から伸びている特別高圧送電線という電線を通って送られますよね。送電鳶はその電線の架線工事や、既設の送電線の点検・保守作業などを行います。
作業に従事するためには、電気工事士の資格が必要です。
送電鳶は日本に4,000人しかいないと言われており、人材不足に悩まされている職業の一つでもあります。
地域との関わりが深い「町場鳶」
町場鳶は、主に地域に根ざした仕事を請け負う鳶職のことです。
「外壁に塗装をしたいから足場を組んでほしい」という小規模な個人からの依頼や、神輿の出し入れ、お祭りで使う屋台の設営などを行います。
また、「町場」と「野丁場」という言葉があり、一戸建てなどの木造住宅を中心とした足場工事を行う鳶のことを町場、マンションやビル、工場などの足場工事を行う鳶を野丁場と分類する場合もあるようです。
時代とともに地域イベントが開催される機会も減ってきているので、現在の町場鳶は一戸建てなどの木造住宅に関連した「町場」の仕事が多いかもしれません。
まとめ
今回は全部で6種類ある「鳶職の仕事内容」について詳しく解説いたしました。いかがでしたでしょうか。
同じ鳶職といっても、仕事内容は非常に幅広いことがわかって頂けたと思います。
足場鳶にはじまり、鉄骨鳶・橋梁鳶・重量鳶などといった具合に、身につける専門知識や経験に応じて職業が分かれていきます。
あなたの憧れの鳶職は見つかりましたか?
目指す職種によって求められる知識や資格が異なるので、ゴールから逆算して必要な行動を少しずつ実践していきましょう!