清水寺は、2017年2月から50年に1度の桧皮葺屋根の改修工事が始まりました。
観光客にとっては本堂全体を見られないという不満の声がある一方、足場を見るために訪れる観光客も現れ、盛んに写真を撮る人の姿も見られます。
では、なぜ改修工事の足場がそれだけの反響を得たのでしょうか?他の足場とどこが違っているのでしょう。
清水寺の改修工事の足場が話題になっている!
やはり一番驚かれたのは清水寺をすっぽり覆う足場が木製であることです。
「今時こんな壮大な杉丸太足場を観られるとは思わなかった」
「大手ゼネコンがハイテクを駆使して足場を組むと思い込んでいたら木だけで組んでいて驚いた」
という木製足場に驚いた人たちからのコメントがたくさん書き込まれています。
生の現場を見た人は
「自称鳶職とよく聞くけれど本当の鳶というのはこういう人たちのことだ」
「あんな高いところで仕事をしていると吃驚した!」
「改修工事の職人さんたちは本当に凄かった!」
と鳶職人の仕事を改めて評価する声も多くあがっていました。
組まれた足場自体に対しても
「木で骨組みを建ててる、凄い、神秘的!」
「改修中のヤグラが格好良い!」
「美しかった」
とコメントを付けて色々な角度から撮った写真が投稿されており、大変話題になっているのです。
中には
「海外には現在も竹足場が主流の地域があるけれど単管で事故が絶えないのに、ちゃんとビケ足場状に組んでいる」
「父が足場の組み方を褒めていた」
他にも丸太径から建地間隔、何mmのどんな鉄線で緊結していて素晴らしいというような建築関係者と思われる人からの称賛の言葉も散見されました。
清水寺改修工事はなぜ木製足場なのか?
足場材が木であることついては、景観への配慮、足場が建物を傷つけないように、急峻な斜面地だから鋼製足場は組みにくいのではないかなどの推測がされていますが、実際の理由はそこにはありませんでした。
それは、後年やってくる次回の修復工事に向けた技術の伝承のためだったのです。
現在、宮大工は30代から40代へ世代交代が進み始め資料での知識ではなく実際の修復技術を習得して継承しようとしています。
仮設足場も鋼材で組むのが普通になり、木製足場を組む機会はほぼありません。
2014年に平等院鳳凰堂を修復した時にもそうであったように、丸太足場を採用したのは受け継がれて来た鳶の技を未来まで伝え残そうという目的からとのことでした。
清水寺改修工事の期間はいつまで?
清水寺の屋根の修復工事は2019年末に終わり、足場の撤去も2020年2月末に終了しました。
しかし、次は舞台板の交換が始まります。
2020年夏からの着工に向けて5月中にも仮設足場の設置が始まり、1年半後の2021年3月に工事が完了し春には足場の撤去が済む予定です。これで清水寺平成の大改修全ての工事が終了します。
まとめ
清水寺本堂の屋根まですっぽりと収める規模の丸太足場に見入った観光客は、木で組んだ足場は美しく格好良いものであり、それを組み上げていく鳶職人たちに尊敬の念を抱いて次々にSNSへの投稿をしました。
その投稿は瞬く間に広がって改修工事の足場が一気に話題になっていったのです。
舞台の板の張替えで再び現れる木の足場も、鳶の仕事と継承されてきた技への賛辞が今回のように語られていくことでしょう。