一人親方と個人事業主は税務署に開業届けを提出し、自分個人が事業主として仕事をしている点では同じ分類のものに見えるのですが、両者に違いはあるのでしょうか。
また、新型コロナウイルスが蔓延し、不特定多数の人が密集する状態を避けるため各所の建設現場が工事の中断を余儀なくされています。中小企業はコロナ給付金を受けられると発表されている中、一人親方はコロナ給付金受給対象に入るのか不安を持つ人もいます。
一人親方と個人事業主の違いはここにある!
個人が事業主として開業していますから一人親方も個人事業主の内に入ります。
しかし、それぞれの仕事の仕方にはかなりの違いがあるのです。
一人親方の定義
・主に建設関連の業務に従事している
・基本的に本人が一人で仕事をしている
・人に給与を支給して雇う日数が年間99日以下(外注を除く)
・特定の会社に所属していても雇用ではなく個人請負として仕事をしている
・親方の下で弟子、見習いとして働いていても親方との雇用関係はない
・何人かでグループを組んで仕事を請け負った場合でもお互いに雇用関係にない
さらに細かいところまで言うと、元請から工具の提供を受けず(材料や重機などは元請のものを使う)自前で用意した工具類を使う、元請から時間や休日、仕事の細かいところまで指示されるなどの詳細な拘束を受けずに自分の裁量で決められる状態で下請け仕事をするのが雇用に当たらないことを証明する純粋な意味での一人親方です。
個人事業主の定義
・業種は何であってもよい
・個人で営業しているが本人が現場で仕事をする必要はない
・人に給与を支給して雇う日数に制限が無い
・特定の会社と請負または委任契約を結んで仕事をしていても雇用関係にはない
こちらはコンビニエンスストアのフランチャイズ店の経営者を思い浮かべてもらうと分かりやすいでしょう。
一人親方はコロナ給付金を貰える?
コロナ給付金は資本金1,000,000,000円以上の大企業を除く中堅企業、中小企業、フリーランスを含む個人事業主が支給対象ですから、税務署に開業届けを提出し個人事業主として認められている一人親方はコロナ給付金を貰えます。
開業届けを出していない場合は対象外となります。
給付条件は「売上が前年同月比で50%以上減少している事業者」に限られています。
つまり減少率が50%未満である場合も残念ながら対象外です。
支給額を算出するための計算式は以下です。
前年の総事業収入 -(前年同月比がマイナス50%月の売上×12ヶ月) = 支給額
仮に数字を当てはめて計算してみましょう。
前年の総事業収入 4,000,000円 -(4月時点で150,000円×12ヶ月)= 1,800,000円
法人は上限2,000,000円まで、個人事業主は上限1,000,000円までですから、法人への支給は1,800,000円、個人事業主は上限いっぱいまで支給されるという訳です。
コロナ給付金の申請には、個人事業主の場合「本人確認書類」「2019年確定申告書の控え」「減収月の事業収入額を示した帳簿」の3種類の書類提出が必要で、1枚でも忘れて申告が遅くなれば支給も遅くなってしまいます。
書類が全て揃っているのを確認してから申告に行きましょう。
まとめ
今回は一人親方と個人事業主の違い、一人親方はコロナ給付金を貰えるのかについてご説明しました。
人を雇用する上限が1年間で99日以下なのが一人親方、1年以上雇用を続けられるのが一般個人事業主と覚えておけばすぐに違いが分かります。
コロナ給付金についても、一人親方は個人事業主に含まれますので給付対象となります。
きちんと申請してぜひ受給して下さい。