近年、国によって偽装一人親方を排除しようとする動きが強まっているようです。
実際に現場でも偽装一人親方の入場を規制し始めました。
何が原因でこのような事になってしまっているのでしょうか?
このままだと一人親方は排除されてしまうのでしょうか?
偽装一人親方とは?
偽装一人親方とは、国でも問題視されている一人親方の偽装請負のことです。
具体的には、
- 正社員のように働くが、契約は請負になっている一人親方(個人事業主)
- 労働者は社会保険に加入させなければならない決まりになっている。
- 労働実態は正社員として働いた場合と変わらないのに、社会保険に加入させてもらえない。
では偽装一人親方の何が問題なのでしょうか。深掘りしてみましょう。
- 「独立すれば今よりも稼げるよ」などと言って一人親方になることを勧め独立させる。
- しかし一人親方とは名ばかりで、自分の会社の専属として働かせ、自分の会社の従業員のように扱う元請けもいる。
- 本来請負契約では元請け側が下請けの一人親方に対して時間的拘束をしたり仕事の進め方などを細かく指示することはできない。
- これでは待遇が悪くなっているだけで、一人親方とは呼べない。
- 建設業はただでさえ不況のため、いまの労働環境を放っておくと人手不足が解消されるどころか逆に深まってしまう。
- 国としてその対策に踏み切っているところ。
このような流れで近年深刻に問題視されるようになったのでしょう。
国がついに動き出した
このように偽装一人親方問題はとても難しい問題ではあるのですが、近年、とうとう国が解決に向けて本格的に動き出しました。
今後は遅かれ早かれ、偽装一人親方は排除され、適切な一人親方だけが残っていくでしょう。
その結果、一人親方か正社員かという従来あるべき姿になることが予想されます。
偽装一人親方に対して現場への入場規制などの措置が取られていることから、今の不適切な契約内容を適切な契約に改め、それを守ることが求められています。
どうして一人親方を排除する必要があるのか?
「国が一人親方を排除しようとしている」と聞けば、俺たちはこれからどうしていけばいいんだと不安になりますよね。
しかし、安心してください。
実際は一人親方を排除しているのではなく、偽装一人親方を排除しているだけです。
一人親方は働き方の一つであり、「職業選択の自由」によって働き方を自由に決める権利が守られています。
適切に労働契約を結んでいて、それが守られている一人親方に関しては問題ありません。
ただし、偽装請負の一人親方に関しては今後消滅していく可能性が高いです。
偽装一人親方問題が問題視される背景にあるもの
偽装一人親方問題を正しく理解するためには、「国・元請け・一人親方」の三者の視点から問題の本質を理解することが重要です。
なぜなら、対症療法のように場当たり的な改善では一向に改善できない問題だからです。
それでは、それぞれの視点から問題を理解していきましょう。
国側の視点
まず国としては、
建設業の担い手不足を解消したい
従業員の待遇改善→魅力的な環境にしていくことで改善したい
と思っています。
だから、その解決策として会社に対して偽装一人親方の入場制限や社会保険支払いの徹底をしているわけです。
会社側の視点
一方で会社としては、仕事も減っているし、案件の単価も年々低くなっていくのに、雇用も維持し続けていかなきゃならない。
それなのに、社会保険料の負担は会社の業績がどれだけ悪くても重くのしかかってくる状態です。
まさに「こんなのやってられるか!」という感じですね。
もちろん、日々懸命に働いてくれる労働者をぞんざいに扱っているわけではなく、そうしたくても出来ない環境があるのです。
実際、一人親方を正社員化した結果、黒字から赤字に転落した企業もあります。
一人親方の視点
そして、一人親方の視点。
個人事業主はいわゆる会社の形態の一つですし、一人親方は事業主ですから、元請けとは対等な存在のはずです。
別に会社の言いなりになる必要はないのですが、それをやってしまうと仕事がもらえなくなってしまうかもしれない・・・という不安が常につきまといます。
仕事でお金を稼がなければ生きていけませんから、「生きるためなら」と交渉の余地なく働かざるを得ない一人親方もいるのです。
経験豊富で引く手数多な一人親方ならまだしも、経験の少ない一人親方にとっては圧倒的に不利な環境にあります。
義務である社会保険料を支払いを逃れようとする会社を批判したくなる気持ちはわかりますが、そうしたくても出来ない理由があるということは考慮するべきなのかもしれません。
まとめ
今回は「偽装一人親方」や「なぜ一人親方が排除されてしまうのか?」についてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
偽装一人親方が問題視される背景には、主に会社が社会保健の支払いを逃れようとしていることが挙げられます。
国もその問題解決に向けて動き出しましたが、会社側が社会保健の支払いを避けるのにも複雑な理由があり、一概に会社が悪いとも言い切れなかったりします。
半ば強制的な施策ではありますが、今後偽装一人親方は排除され、従来あるべき姿に少しずつ移行していくのではないかと思われます。