大型の足場材の荷揚げ作業は一歩間違えると大きな事故に繋がるため、詳細に決められた作業手順を覚えるのは簡単とは言えません。
作業工程の中には受講・資格が必須のものもあります。
有資格者の人数が少ないと荷揚げに時間を取られ全体の工事に影響してしまわないとも限りません。
足場材の荷揚げの作業手順
厚生労働省により定められている荷揚げ作業の手順をご紹介いたします。
●←が先頭についている作業は「玉掛有資格者」が行うものとされていますのでご留意ください。
準備
①●移動経路に障害物がないか、荷締めに問題がないか点検
②荷がワイヤーロープとクレーンの耐荷重範囲内であるのを確認
③●ねじれや変形のない良好な状態のワイヤーロープ5mを2本を用意
④●シャックル(吊り荷とワイヤーを繋ぐ連結金具)、介錯ロープ(荷を誘導するロープの)が正常か確認
本作業
①クレーンを呼ぶ
②2方向から見て荷の重心の真上になるようにフックを誘導
③身長よりやや低めまでフックを下ろし、停止
④●荷の重心、吊り角度が30度以上60度未満であることを確認しシャックルを付ける
●介錯ロープを付け、微動巻き上げ(補助者が必要)
●ワイヤーロープが利いているかをぴんと張るまで手で押さえながら確認
●玉掛補助者が3m以上避難してから20~30cm荷を微動巻き上げ
●介錯ロープで誘導し、玉掛者が吊り荷から3m離れたら巻き上げる
⑤床上2mで止める
⑥介錯ロープで誘導しながらクレーンを先導し横に移動
⑦枕木の真上で止める
⑧●介錯ロープで誘導し補助者を避難させ巻き上げる
⑨枕木の20cm上で荷の位置と方向を修正して停止
⑩玉掛ワイヤーロープの位置をずらし枕木の位置も直す
⑪荷から手を離し徐々に下げ枕木の上に降ろす
⑫●ワイヤーロープが緩んだ状態で2方向から荷の座り具合を確認
●さらに巻き下げる
⑬微動巻下げ
⑭●フックからワイヤーロープを外し2m巻き上げる
●補助者と2人で荷崩れしないようにゆっくりとワイヤーロープを引き抜き荷解きする
後始末
①●ワイヤーロープ他、荷揚げ用器具を点検
②器具の片付け
③作業終了報告
足場材の荷揚げ作業の便利機材
荷揚げ作業の手順は煩雑で、人員も時間も掛かります。
それを解消する便利な機材が販売されていますのでご紹介しましょう。
猿飛太助(株式会社アイル)
株式会社アイルの「猿飛太助」は、特許を取得している中高層階向けの足場リフトです。
・2~3人で設置可能
・運転資格、免許、届出不要
・カゴの底は荷が滑りにくいゴムマット
・背が高くパイプや布板が転落の心配がない
・最大120kgまで積載可能
・ワイヤーが切れても
・AC100V
・ワイヤレスリモコン式
猿飛太助Ⅰは狭小地向けのスリムなカゴで次世代足場、くさび式足場に対応しています。
猿飛太助Ⅱは枠組足場用に改良されて幅広カゴになりました。
Cリフト(足場研究所)
安全帯を付け替えながら移動しなくても済むように開発されたC形のリングを応用した中高層階向けのリフトです。
・運転資格、免許、届出不要
・手元の足場資材を必要な大きさに組み立てて使用(狭小地でも使用可)
・脱落防止ストッパー装備
・メーター、インチサイズ併用
・布板と平行にパイプを取り付けて荷台として使用可能(手動で動かす)
大きさ・使い方と汎用性が高いリフトです。枠組、くさび式、次世代足場に対応します。
まとめ
今回は足場材の荷揚げの作業手順とおすすめの便利機材をご紹介しました。
足場資材を運ぶには、数が多い・重い・非常に長いものは従来通りの方法で作業手順をしっかり守って荷揚げして下さい。
少量ずつ・それほど重くないものは手軽なリフトを使って荷揚げするといいでしょう。