足場作業中に『朝顔』という言葉を聞いたことはありませんか?小学校の時、夏休みの時に観察日記を書いたあの朝顔ではありません。
足場用語の『朝顔』とは?
朝顔とは、上向きに傾斜した防護棚の姿が花の朝顔のようなことに由来し、建設業界ではこの防護棚のことをいいます。(画像参照)
引用元:リーラック機材株式会社
道路などに面した工場現場で足場からはみ出した状態で設置し、仮設足場からの落下物が通行人などに危害を与えないように足場に取り付ける防護棚のことをいいます。
仮設足場の上で作業する職人が万が一道具や資材を落としてしまうと、小さなものだとしても、現場の下を歩く人に大きな怪我を負わせてしまう危険性があります。朝顔はこのような現場での事故を防ぐことが目的です。
材質は主として鋼製でユニット化されています。
鋼製朝顔とも呼びます。
アルミ製のものもあります。
道路に面した場所での作業では安全確保のため必需品のツールです。
持ち運び可能で組み立てて設置する仕組みになっています。建設作業が終わったら取り外すこともできます。
建築基準法で設置を義務付けられています。
朝顔は足場の高さが10m以上の際には1段以上の設置、20m以上では2段以上の設置が義務付けられており、突き出す長さは、足場から水平距離で2m以上、斜めの角度は20度以上とされています。
朝顔の用途は?組み立て方は?
朝顔の用途は道路を歩行する人に上からの落下飛来物で怪我をさせることを防ぐことです。
朝顔の組み立て方について、大手足場レンタル会社の日本レンテクトが解説動画を載せているので
こちらにご紹介します。
組み立ての流れは以下の手順です。
- 直線部のフレーム受け金具・斜材受け金具を組み立てる
- コーナー部の隅フレーム受け金具・隅斜材受け金具を組み立てる
- 妻側部の妻側フレーム受け金具・妻材斜材受け金具を組み立てる
- 直線部の朝顔を組み立てる
- 妻側部の朝顔を組み立てる
- コーナー部の朝顔を組み立てる
朝顔の正式名称は?
厚生労働省の「国土交通省の仕様書に基づいた足場等の安全対策」によると、
第三者を対象とした措置 【公衆災害防止対策】 現場の立地条件等を考慮し、必要に応じて以下の中から適当なものを設置
• メッシュシート
• 垂直養生ネット
• 防音パネル
• ネットフレーム
• 防護棚(朝顔)
という記載があり『防護棚』が正式名称ですが、法律用語としても『朝顔』は十分に意味が通るようになっています。
落下物防護用施設とも呼ばれますが、『防護棚(朝顔)』という名称が使われているようなので、俗称という意味だけでなく、正式名称でも通用いたしますので行政提出書類等を書く際にもご安心ください。
なお、建設基準法施行令では、以下のような書き方になっており、鉄網という言葉が使われています。
建築工事等を行なう場合において、建築のための工事をする部分が工事現場の境界線から水平距離が5m以内で、かつ、地盤面から高さが7m以上にあるとき、その他はつり、除却、外壁の修繕等に伴う落下物によつて工事現場の周辺に危害を生ずるおそれがあるときは、国土交通大臣の定める基準に従つて、工事現場の周囲その他危害防止上必要な部分を鉄網又は帆布でおおう等落下物による危害を防止するための措置を講じなければならない。(建設基準法施行令 第136条の5 落下物に対する防護)
まとめ
いかがでしたか?朝顔が何か、名称の由来、用途などご理解いただけましたでしょうか。
仮設足場からの落下飛来物を防ぐための斜めに取り付けた棚のことをその形状が花の朝顔ににていることから朝顔と呼び、厚生労働省の書類にも「防護棚(朝顔)」との記載がありますので、行政書類などでも十分意味が通る言葉となっています。