安全ネットは、建設現場や工事現場の足場、階段、吹き抜けなど、高所からの万が一の転落事故の際、人を受け止めることができます。ネットの網目が小さいものは、工具・ビスなど小さなものの落下防止にも適しています。
通常、水平に張るネットで垂れをもたせるのが一般的ですが、作業現場の条件により、大きさ、網糸の太さ、網目の大きさ、吊りロープや緑ロープの太さがそれぞれ異なりますので、入念な準備が必要です。
足場安全ネット(落下防止ネット)の設置基準は?
一般社団法人仮設工業会『安全ネットの構造等に関する安全基準と解説』より、足場安全ネット(落下防止ネット)の安全基準をご紹介いたします。
[単体ネット] … 1枚のネット
[複合ネット] … 複数のネットをつなぎ合わせたネット
[ネットの支持点・支持面] … ネットを取り付ける点が支持点、支持点を連ねる面が支持面
[ネットの垂れ] … ネットを取り付けた際の網地の最低部からネットの支持面までの垂直距離(S 単位m)
[落下高さ] … 墜落のおそれのある作業床等から支持面までの垂直距離(H1 単位m)
[ネット下部のあき] … ネットの下方における衝突のおそれのある床面又は機械設備から支持面までの垂直距離(H2 単位m)
高さや間隔の算出方法は?
安全ネットの高さや間隔など設置の基準はどのようになっているのでしょうか。
また算出方法についてもあわせてご紹介いたします。
後述の式に用いるアルファベットの定義
L=正方形の単体ネットの場合はその一辺の長さ
長方形の単体ネットの場合はその短辺の長さ
複合ネットの場合は、複合されたネットの一辺の長さ又は短辺の長さ
A=安全ネットの支持間隔
長方形の単体ネット及び複合ネットの場合、長辺側における支持間隔
算出方法
1:安全ネットの落下高(H1)は、以下の式によって算出します。
H1≦0.25×(L+2A)(単体ネット) … ①
H1≦0.20×(L+2A)(複合ネット) … ②
L:単体ネット及び複合ネットの辺長又は短辺長(単位m)
A:安全ネットの支持間隔(単位m)
ただし、A≦Lの範囲では、A=Lとします。
①及び②の式は、人間が墜落防止された場合、人体にかかる減速度が性能値の147m/s2以下になるよう算出できます。
2:ネットの下部のあき(H2)は、以下の式によって算出します。
H2≧0.85×(L+3A)/4
ただし、A≦Lの範囲では、A=Lとする。
3:ネットの垂れ(S)は、以下の式によって算出します。
S≦0.2×(L+2A)/3
ただし、A≦Lの範囲では、A=Lとする。
4:支点の吊りロープ、緑ロープについては、以下の式によって算出します。
ネットに人体(90kg)が落下し、15Gの加速度が加わるとした場合
衝撃荷重90kg×15=1,350kgに耐えるロープが必要。
※ナイロンの場合 … 9mm
※ポリエステルの場合 … 9mm
5:支持点数については、8点支持にした場合より4点支持の場合のほうが衝撃をやわらげることができます。
しかし、4点支持ではネット周辺に大きな隙間ができることもあるため、現場に応じて柔軟な対応が必要です。
安全ネットを設置する際はこれらの算出方法や注意点から、落下高・ネットの垂れ・ネット下部の空間・吊りロープや緑ロープの太さ・支持点数を決定し、安全性を確保しなければなりません。
まとめ
いかがでしたか?
安全ネットを使用することで、高所であっても安心して作業することができます。安心できる足場での作業は施工精度が上がりますし、施工品質の向上も期待できます。お客様の満足度にも繋がり、リピートしてもらえる確率も上がるのではないでしょうか。
安全ネットを使用して、より充実した環境を整えましょう。