こんにちは。足場工事マガジンです。
今回は群馬県太田市のPRO−STEP株式会社へお伺いし、蔵持社長にインタビューを行いました。
PRO−STEP株式会社は足場工事業のみに留まらず、リフォーム業や不動産経営まで幅広い事業展開を行っており、今後は発達障がい児童のための放課後デイサービスも開始予定です。その新たな事業モデルは、未来の足場工事会社の可能性の一つとして注目を集めています。
■経営の悩みが引き寄せた伊藤社長との出会い
インタビュアー(以下、イ):まずは伊藤社長との出会いから教えて下さい。
蔵持社長:3年ほど前、太田駅北口のガストが出会いです(笑)。「足場工事会社に特化して支援しているすごい人がいる」と聞いていたんです。「是非紹介して下さい」とお願いして、伊藤社長に太田市へ来ていただきました。打ち合わせをして、ほぼ即決でコンサルティングをお願いしたのが始まりです。
伊藤:当時はまだ足場ベストパートナーの設立前でしたね。
イ:伊藤社長に即決でコンサルを依頼した理由は何でしたか?
蔵持社長:当時、私は結構困っていて。職人から社長になったので、経営の経験がありませんでした。今思えば、売り上げが倍々で急成長しすぎていて、経営者としてやっていないことが多かったのです。何をすればいいのかわからなかったし、そういうことって誰も教えてくれないじゃないですか。そういう時に伊藤社長が話して下さったことが私の悩みとマッチしたので、すぐにコンサルをお願いしました。
■2年で達成した「3億円プロジェクト」
イ:伊藤社長と出会った3年前、会社はどのような状態でしたか?
蔵持社長:3期目で、当時の売上は1億4千万円でした。伊藤社長に入っていただいてから売上2億4千万円を達成して、次の目標は3億円でした。伊藤社長に相談して「3億円プロジェクト」というグループLINEを作っていただいて、目標に取り組みました。おかげさまで2年かけて無事3億円を達成しました。
内部的な物の考え方なども学ばせていただきました。足場ベストパートナーの集まりへ参加することによって、同業他社さんとも仲良くなり、他社の取り組みを知ることで自分のやっていることが間違いではないと実感しました。同じ経営課題に取り組んでいる仲間がいるので前向きに頑張れます。
イ:「何をやったらいいかわからない」という当時の社内はどんな状況でしたか?
蔵持社長:ぐちゃぐちゃでした。そもそも経営をしたことがなかったし、事務員さんにも何をしてもらったらいいのかわからなかったのです。「社長」と「社員」の仕事の線引きがわからなかったんですよね。それを確立しようとしていた時期でした。
■職人は現場優先、低かった会議への意識
イ:具体的にどのような課題がありましたか?
伊藤:当時は職人さんが16人くらい、管理の方が3人、事務員さんが2人いました。当時の蔵持社長はストレスの塊で、いつもイライラしていました。いろいろなことが起きてきて、でもその対処方法がわからないというジレンマがあったのだと思います。
蔵持社長:仕事も社員も増えているのに生産性が悪いので、結局は自分が入らないと進まない。非常にストレスを感じていました。職人さんが会議の時間に集まらず、それまで会議というもの自体やっていなかったのでみんな現場優先で動いていて。会議の重要性がとても低く、「行かなくてもいいだろう」という雰囲気がありましたね。
伊藤:真面目に参加しているのは事務員さんだけでした。
蔵持社長:事務員さんは金融機関やハウスメーカーで勤務経験のある方達なので意識が高く、職人との間に価値観の差がありました。私は職人の気持ちもわかるのですが、会社としてこのままだとうまくいかないなと。
■秘めていた経営理念の共有からスタート
イ:そこから伊藤社長はどのように入っていったのですか?
伊藤:まずは聞き取りから。会社の課題を出し、そこから毎週打ち合わせを行い取組内容を決めました。実は当時から既に経営理念もあったのです。
蔵持社長:本で経営理念が大事だと読んだので、自分で作ってあったんですよ。そういえば経営理念あったなと(笑)。掲示するものだと思っていなくて、社長が持っていればいいと思っていたのです。伊藤社長に「いや、出すんですよ」と言われて。「社員さんはみんな知ってます?」「普通の企業は社員さんも経営理念を知っているんですよ」と(笑)。そんな状態でしたね。
伊藤:そしてビジョンとミッションを一緒に創りました。行動指針は「目配り・気配り・思いやり」という一つに集約して、社内に掲示しました。事務マニュアル、営業マニュアル、職人さん用マニュアルを順に作成し、難しいものを創ろうとすると現実に合わなくなってしまうのでまずはワードで書き出していって。それから事務員さんが「プロステップ便り」というニュースレターを創って、請求書に同封し始めました。社内報も企画して。
蔵持社長:伊藤社長と始めた「プロステップ便り」は、もう何年もやっています。請求書に同封したり、顧客リストに送付しています。
■お客様も注目の「プロステップ便り」
イ:その中で何を発信しているのですか?
蔵持社長:弊社の手がけた現場を載せています。会社の状況や、社内の安全大会やレクリエーションなどのイベントレポートも事務員さんが書いています。良い会社であるということをアピールしているのです。
伊藤社長:それを毎月発行しているということは、信頼できるじゃないですか。そういうことをちゃんとやっている会社なら、施工もきちんとやってくれる会社だと感じてもらえます。あとは紹介のツールにもなりますよね。こういった取り組みを行っている足場工事会社さんは多くありません。
イ:どのような人から、どんな反応がありましたか?
蔵持社長:常時お取引のある会社さんからは「うちの現場はプロステップ便りに載るかな?」と言っていただきました。そりゃあもうバーンと大きく載せましたよ(笑)。見て下さっているということですよね。あとは社内に掲示していただいている会社さんもあります。足場工事会社と何社もお取引のある大きな会社さんなのですが、営業の方から「プロステップ便りいつも見てるよ」と言っていただきました。
■当たり前の価値観を合わせるマニュアル作り
イ:それから、マニュアル作りを行ったのはなぜですか?
蔵持社長:自分にとって当たり前のことでも、その基準は人によって違います。当たり前のことを当たり前にできるようになるのがマニュアルです。マニュアルと聞くとすごい物というイメージかもしれませんが、そんなことはありません。でも足場工事業界ではマニュアルのある会社なんて、そもそもないですよね。弊社ではそこに取り組み、ルールややるべきことをまとめていきました。
イ:「当たり前の基準が人によって違う」と感じたのはどんな時でしたか?
蔵持社長:以前は社員と話をしていても、価値観が合わないので喧嘩になってしまっていたのです。価値観を合わせるために、経営理念に則った行動をマニュアルにしました。
伊藤:蔵持社長はそういったマニュアルをもとに、経営理念に共感してくれている職人さん達を大切にしながら事業を伸ばしています。
■テレアポで社員の知られざる才能が開花
イ:営業サポートも利用したのですか?
蔵持社長:当初は伊藤社長にテレアポもお願いしていましたが、その後は女性社員の一人がテレアポを行うようになりました。テレアポ先のリストをいただいて、ひたすら電話をかけていました。どうしても断られてしまうのがテレアポですが、めげずにひたすらかけ続けてアポを取っている彼女の姿を見て、「すごいな」と感心しました。こんな事務所に置いておいたらもったいないと思って、「外へ営業に行け」と、営業経験もないのに出しました(笑)。彼女は今、リフォーム業の営業を担当しています。
イ:伊藤社長が入る前からテレアポはやっていたのですか?
蔵持社長:やっていましたが、そこまで力を入れていませんでした。それまでは現地調査へ行くときに会社を見つけると「こんにちは」と入っていって、飛び込み営業をしていたのです。
伊藤:足場工事会社さんはだいたい飛び込み営業ですよね。
イ:テレアポを実施してみて、気づいたことはありましたか?
蔵持社長:私は社外の団体にも所属していたので名刺交換の経験はあったのですが、当時の営業マンは名刺交換のマナーもきちんとはできていなかったと思います。また、口だけで説明するのには限界があるので、伊藤社長が創ってくださったパワーポイントの資料をiPadでお見せしていました。
■社長も変わった、職人さんも変わった
イ:では、ストレスの塊だったとのことですが、伊藤社長と出会ってからは精神的な開放感に違いはありますか?
蔵持社長:間違いなくありますね。精神的に楽になりました。伊藤社長と出会っていなければどうなっていたか、考えると怖いです。今も足場工事をやれていたかどうか。出会いは運命だったと思います。
イ:職人さんは変わりましたか?
蔵持社長:変化はありますね。会議の習慣が生まれました。月1で全体会議をして、その後に職人さんが別で会議をするようになりました。会議への意識が変わってきた職人さんはいます。
伊藤:初めての安全大会は伊香保温泉で開催しました。企画を会議で一緒に創って、経営計画の発表と安全大会を同時に行いました。今では毎年やっていただいています。安全のスローガンは、みんなでグループディスカッションをして発表し、良いものを管理者が選ぶという方法で決めました。
■他業種への事業展開でゆとりある経営が可能に
イ:プロステップさんでは足場工事以外にも事業をはじめているそうですが、新規事業を始めたのはいつ頃でしょうか?
蔵持社長:1年半ほど前からです。リフォーム業はもともと行っていたのですが、以前は保険を活用したリフォームといって、お客様が入っている火災保険などで修繕できるリフォームを主に営業していました。
塗装の知識をどうやって勉強したら良いかもわからず悩んでいたところ、伊藤社長から株式会社塗装ベストパートナーの古住社長をご紹介いただきました。それがきっかけで、保険を活用したリフォームから外壁塗装へ切り替えました。
伊藤:千葉県柏市にある株式会社シャインさんは、お客様が3ヶ月待ちの塗装会社です。今、足場ベストパートナーの塗装会社版である「塗装ベストパートナー」を一緒に創っているところです。塗装ベストパートナーではリフォーム業への進出を考えている足場工事会社さんへ、WEB集客からプレゼン、契約までの営業手法をお伝えしています。その第1号が蔵持社長でした
蔵持社長:伊藤社長からはいつも事業展開のきっかけやアドバイスをいただいています。リフォーム業はもともとやりたいと思っていたのですが、その突破口を開いてくれたのが伊藤社長でした。
イ:リフォーム業を始めた理由は何ですか?
蔵持社長:足場工事は価格競争が激しく、値段を叩かれてしまいます。そういった中、適正価格で発注いただける会社さんに末永くお付き合いいただくための体制作りとして、事業展開を行っています。
伊藤:足場工事業をメインに利益を出しながら、新しい事業の利益で本業を補填することもできます。足場の材料を買いたい時に、他の事業の利益からも買えるのは事業展開の強みです。また、リフォーム業は足場を自社で段取りできることもメリットの一つですね。
■不動産経営や放課後デイサービスまで幅広く展開
イ:リフォーム業の他にはどのような事業を行っていますか?
蔵持社長:不動産経営です。アパートと平家の貸家を3棟、弊社で所有しています。アパートは大和ハウスで8世帯1億円の物件です。私は以前に事務所を追い出されてしまった経験があるので、借りている物件は一刻も早く自社の所有に変えていったほうが良いと考えています。20代半ば〜後半の若い社長なら、10年返済で買えます。土地も売ることができるので、買ったほうがいいと思っています。
伊藤:土地を持っていると銀行からの目も変わりますからね。
イ:今後、発達障がい児童のための放課後デイサービスも開始されるそうですね。
伊藤社長:足場ベストパートナーの神奈川の会員さんに、足場工事業をメインに、放課後デイサービスを3箇所経営している会社さんがあります。その会社さんが開催したフランチャイズ説明会へ蔵持社長が参加されて、契約いただきました。
イ:なぜ放課後デイサービスなのですか?
伊藤:職人さんを終身雇用するための一つのモデルになります。また、地域貢献を行えるというのも理由の一つです。職人さんの知り合いを人財として採用できるのもメリットですよね。
蔵持社長:弊社の経営理念に地域貢献が入っていたので、放課後デイサービスをやろうと決めました。戦略的には、放課後デイサービスの利用者さんの自宅のリフォームを受注に繋げ、各事業を一体化していきたいという考えがあります。
■足場ベストパートナーでマッチした価値観
イ:足場ベストパートナーへ入会する前は、同業他社さんとの横の良い繋がりはありましたか?
蔵持社長:友人の足場工事会社さんが同級生だけで5社くらいあるので、連絡を取っていました。友達同士のコミュニケーションに学びはもちろんありますが、世の中は広いですからね。仲間と一緒にいても、私は考え方が違っていたのです。
感覚が違うなと感じていた中、伊藤社長に連れられて全国の足場工事会社の社長さん達にお会いしました。アートビルダー株式会社の宇津木社長や、株式会社山上建設の山上社長など、初代のメンバーです。
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蔵持社長:そういった社長さん達の価値観が自分とマッチした実感がありました。地元以外の社長さん達だからこそ言いにくいことも言えたり、価値観を共有することができたのだと思います。
伊藤:足場ベストパートナーの会員さんは、会社を伸ばしていきたいという前向きな社長さんばかりです。 地方では県の内輪だけで固まろうとする傾向がありますが、そういうタイプの社長さんは足場ベストパートナーには向いていません。全国から良い情報を地元に持ち帰って活かしたいという、前向きな社長さんが向いています。
蔵持社長:社長さん達は仕事も大変で時間も作れないと思うのですが、同じ境遇の社長さんには、是非一度でも足場ベストパートナーの集まりへ参加していただきたいなと思います!
元職人から経営者となり、伊藤社長と二人三脚で会社を急成長させた蔵持社長。その夢は足場工事業のみに留まらず、幅広い事業展開により更なる高みへと飛翔しようとしています。
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