建設現場における足場の設置や解体といった作業は、高所作業の中でも特に危険性が高いとされています。
墜落防止用器具は、作業員が高所から転落するのを防ぎ、万一転落した際の死亡事故を防ぐために着用が義務付けられています。
足場における墜落防止措置に関する法令について
建設業界、特に高層の建築物を建てる際に足場の設置・解体は必要不可欠な作業です。
しかし、高所での作業は常に落下のリスクを伴うため、作業者の安全に最大限配慮する必要があります。
そのため、墜落防止器具の使用は法律によって厳しく規制されており、その詳細を理解することは監督者だけでなく現場作業者にとっても必須の知識です。
墜落・転落災害の防止のための法令は「労働安全衛生規則」に定められています。
2023年7月6日に厚生労働省により、足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則が改正されました。
これにより、足場からの墜落防止措置が強化されることになります。
令和5年10月1日(一部の規定は令和6年4月1日)から順次施行されるので、改正内容を理解しておくようにしましょう。
<改正内容>
- 一側足場の使用範囲が明確化されます
- 足場の点検時には点検者の指名が必要になります
- 足場の組立て等の後の点検者の氏名の記録・保存が必要になります
狭い場所で使用する一側足場は、構造上手すりの設置等の墜落防止措置が適用されませんが、2019年~2021年に起きた足場からの墜落・転落による死亡災害56件のうち8件が一側足場だったことにより、今回の改正に至ったとされています。
2024年4月からは本足場を使用するために十分幅がある場所(幅が1m以上の場所)では、本足場の使用が義務付けられます。
幅が1m未満の場合でも可能な限り本足場を使用することが望ましいと厚労省は示しています。
足場工事における作業者の安全を守るために
足場工事の作業に従事する作業者の安全を守るために、以下のような安全措置を取る必要があります。
墜落防止措置
足場の組立てなどを行う際は、幅40cm以上の作業床を設置しなければなりません。(狭い場所など困難な場合を除く)
また、墜落防止用器具であるフルハーネス安全帯を適切に着用するよう義務付けられています。
安全教育の実施
定められた法令を遵守し、作業者の安全を守るためには、適切な安全教育の実施が不可欠です。
足場の組立て・解体・変更などの作業に就く作業者に対して「安全衛生特別教育規程」に基づいた特別教育を受けさせる必要があります。
点検の実施
労働安全衛生規則第567条及び第568条に基づいて、その日の作業開始前、足場の組立て、解体及び一部変更した後、悪天候の後に足場用墜落防止設備(手すり、中さん及び幅木等)等の点検が義務付けられています。
まとめ
建設業界において足場工事は高所作業も多く、危険性が高い作業とされています。
作業者の安全を守るためにも、墜落防止措置など安全に作業をするために定められた法令を遵守することが非常に重要です。
本記事を通じて作業者一人一人が安全に関する意識を高く持ち、最新の法令についての理解を深めていただけることを願っています。