建設業と聞くと、あまり良く思わない人もいるかもしれません。
ニュースなどで逮捕されたことを取り上げるとき、通常は会社員と一括りにされますが、一部の職業はそのまま紹介されます。
たとえば、無職や飲食業といった職業ですが、鳶職人も関わっている建設業も「土木作業員」または「建築作業員」などとしてそのまま報道されるといいます。
メディア側の意図はさておき、あえて区別して報道するからには、それらの一部の職業が犯罪に関わることが多いからだと考えられます。
あまり知られていないだけで、実は建設業が犯罪の温床になってしまっていたりするのでしょうか？
そもそも犯罪の「温床」とは？
「〜の温床」とよく言われますが、そもそも温床とはどういう意味なのでしょうか？
温床について調べてみると、デジタル大辞泉では以下のように説明されていました。
- 苗を早く育てるために床土(とこつち)をあたたかくした苗床
- ある結果が生じやすい環境(主に悪い意味に用いる)
犯罪の温床の温床は、2の「ある結果が生じやすい環境」に当たりますね。
そして、ある結果が生じやすいということは必ず何かしらの原因があるはずです。
建設業が犯罪の温床だと言われてしまう原因
温床は何かしらの原因があるから発生するもの。
では、建設業が「犯罪の温床だ」と言われてしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか？
汚職事件
公共事業の入札を巡り、ゼネコンが国会議員や都道府県知事、市長などに対して賄賂を贈り入札を有利に進めようとする汚職事件を起こしたことが一時期話題になりました。
この汚職事件をきっかけに建設業に対する不信感が募り、一気にイメージダウンします。
凶悪犯罪が多い
とあるランキングサイトによると、土木・建築作業員が凶悪犯検挙数のワースト1位であるとしています。
凶悪犯とは「殺人・強盗・放火・強制性行等」を指します。
ちなみに2位は無職、3位は飲食業でした。
これらは正確なデータとは言えないかもしれませんが、警察庁が公開している罪種別犯行時の職業別検挙人員といった確かなデータを元に分析されているので、誤差はあっても大枠は掴んでいると思います。
低学歴
高学歴が多い大手ゼネコンを除き、土木や鳶の作業員は中卒・高卒で働く人がほとんどです。
低学歴の犯罪率は高く、刑務所入所者の約4割は中卒だと言われています。
もちろん低学歴でもプロとして仕事にひたむきに取り組む職人さんも多いですが、やはり一定数は悪事をはたらく輩が流れ込んできます。
業界の特徴でもある、働き手の受け皿が大きいことがマイナスに働いてしまっているのです。
土木・建築作業員による犯罪が多いことは低学歴が多いことも少なからず関係していそうです。
犯罪の温床とは言い切れないがそういう環境と捉えられがち
冒頭でもメディアの偏向報道については触れましたが、凶悪犯罪が最も多く発生している職業であるのもまた事実ということになってしまいました。
これらの事実を踏まえると、世間的に「建設業の人＝悪い人」というイメージが固まってしまうのも無理ないかもしれません。
結論としては、建設業は犯罪の温床になっていると断言することはできません。
しかしその一方で、そう取られても仕方ない環境である、そう捉えられてしまいがちな傾向にあることとは思います。
このことについては業界なども問題視していて、以前と比べれば少しずつ風通しはよくなりつつあります。
取り組みはまだまだ十分とは言えないかもしれませんが、この調子で建設業界全体が古い体質を新しくアップデートしていき、若い層が働きたい！と思えるような魅力的な業界へ変化していくことを願うばかりです。
まとめ
今回は「鳶職人が集まる建設業は本当に犯罪の温床なのか？」についてご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。
建設業が犯罪の温床になっていると断言することはできませんが、そう取られてもおかしくない環境であることは間違いありません。
これまでの汚職事件や癒着といった不祥事によってついてしまった悪いイメージを一掃し、世間のイメージを向上させていくことがいまの建設業には求められているのではないでしょうか。
