最近では建設現場のみならずDIYをする際にも単管パイプ足場を用いられることが増えているようです。
単管パイプ足場は直径48.6mmのパイプ(単管)とクランプなどの緊結金具を組み合わせ作る仮設足場のことです。
パイプで本当に職人さんや上に乗って作業する人間の体重を支えられるのか?安全性は?と不思議に思う方もいらっしゃると思います。
単管パイプ足場の強度
単管パイプの強度とはすなわち中間荷重(質量)を加え、荷重を取り去った時パイプが元に戻れる(復元)できる最大荷重のことを指します。
荷重が加わっている間の曲がりはたわみと呼ばれ、元に戻れる程度の曲がりのことを意味します。
曲がったまま元に戻らない状態を永久変形といいます。
単管パイプは基本的に直線距離が短ければ短いほど強度が強く、長ければ長いほど強度が弱くなります。
単管パイプが中間荷重で元に戻れる荷重の目安は?
単管パイプが中間荷重で元に戻れる荷重の目安すなわち強度の目安としては、単純支持で1mの場合中央集中荷重で約456㎏で曲がりはじめ、2mの場合約228㎏で曲がります。
単管パイプの強度の計算方法は、長さをlmとした場合、中央にかけると曲がり始める質量はm=456/lとなりますので、
- 1.0mの単管パイプの強度:456㎏
- 2.0mの単管パイプの強度:456/2.0 = 228kg
- 3.0mの単管パイプの強度:456/3.0 = 152kg
- 3.5mの単管パイプの強度:456/3/5 ≒ 13kg
という結果になります。
この計算式からもお分かりの通り、単管パイプは延長すればするほど強度は弱くなっていくというわけです。
単管パイプの許容曲げ引張応用力度について、労働安全衛生規則第241条に「降状強さの値または引張強さの値の3/4の値のうちいずれか小さい値の2/3の値以下とする」という記載があります。
一般工事で使用する単管パイプの場合、stk500(引張強さが500n/mm2)のため降状強さは360n/mm2、360×2/3=240n/mm2が許容曲げ引張応力度ということになります。
単管パイプの断面係数Zは3.83㎥、最大曲げモーメントはmmax=σa*z=240*10^2*3.83=91920(n・cm)となり、片持ち梁で長さ1メートルの単管パイプの先端に積載できる最大荷重Pはp=m/l=91920/100=919n≒93kgとなりますので、計算上は長さ1メートルの単管パイプの先端に大人一人ぶら下がっても大丈夫ということになります。
単管DIYランドに実際に単管パイプの強度を試したデータが掲載されていましたのでご紹介します。
- 単管パイプ中間荷重、肉厚1.8mm×2000mmは400kgで永久変形
(荷重を取り去っても、曲がりは元に戻らない) - 単管パイプ中間荷重、肉厚2.4mm×2000mmは350kgで永久変形
(荷重を取り去っても、曲がりは元に戻らない)
先にご紹介した計算式と多少の差異はあるもののほぼ計算上と同じくらいの中間荷重で永久変形していることがわかりますね。
ちなみに単管足場に用いられるクランプの強度はスパンあたりの積載荷重は400kgまでと規制されています。
足場板が4メートルかつ3点支持が原則のため12スパンの場合1.8メートルとすると単管足場では2スパン取り出すとクランプは6個、真ん中の建地では2個のクランプを使用し両側のスパンの半分ずつを負担することになるので、積載荷重が400kgクランプ1個の場合の強度はその半分の200kgという計算になります。
単管パイプの単純な強度だけでなく、緊結金具など単管パイプ足場に使用する部材の強度についてもあわせてチェックしておくと良いでしょう。
参照:単管DIYランド
まとめ
今回は、単管パイプ足場の強度や中間荷重で元に戻れる荷重の目安についてご説明いたしました。
いかがでしたでしょうか。
単管パイプ1本でも組み立てても強度は十分あることがわかります。
単管パイプを組んで足場を組んでDIYしようとしている方やウッドデッキ、車庫、小屋を作りたい人は参考にしてみてください。しかし安全に関わる部分ですので強度だけを鵜呑みにせず、必ず設置条件や環境などに合わせて足場の組み立てを行うようにしてくださいね。