現場の作業を安全に行うために、必ず気にしておかなければならないのが足場の最大積載荷重です。組み立てる足場の種類や、使用する資材によって差異はありますが、安衛法(労働安全衛生法)によって算出方法まで明確に示されており、その表示も義務付けられています。積載荷重には最大積載荷重と許容積載荷重といった用語が存在し、複雑な面もあります。作業員の命に関わる計算を、完全に理解していない状態で実施するのは、あまりに危険ではないでしょうか?
足場の許容積載荷重って何?
許容積載荷重とは、布板1枚が耐えられる重さの限界のことです。1枚では耐えられない荷重にも、2枚であれば耐えられるようになりますよね。また、幅が大きければ大きいほど、耐えられる重さが大きくなることも、想像できるかと思います。
以下は、一般的な鋼製布板の許容積載荷重です。
【表Ⅰ】
布板の幅 | 許容積載荷重 |
500mm | 250kg |
300mm | 150kg |
240mm | 120kg |
1スパンごとの許容積載荷重は、布板1枚ごとの許容積載荷重を元に算出されています。鋼製布板の幅の大きさによって許容積載荷重が設定されていますので、使用する部材ごとの許容積載荷重を組み合わせて計算することで、1スパン当たりの許容積載荷重を算出することができます。
先ほどの、布板1枚あたりの許容積載荷重【表Ⅰ】を基準として、足場の幅や種類によって数値を組み合わせていく必要があります。
【表Ⅱ】
足場の幅 | 布板の幅・枚数 | 1スパン当たりの許容積載荷重 |
1200mm | 500mm・2 | 500kg |
900mm | 500mm・1+240mm・1 | 370kg |
900mm | 500mm・1+300mm・1 | 400kg |
600mm | 500mm・1 | 250kg |
といった具合です。
このように、使用する部材の幅や枚数によって許容積載荷重は変化するんですね。
足場の最大積載荷重って何?
ここまでに登場した【表Ⅰ】【表Ⅱ】だけでは、まだ最大積載荷重を算出することはできません。
単に足場の最大積載荷重と言っても単管足場、次世代足場、ブラケット足場など、足場の種類によって1スパン毎の最大積載荷重が設定されており、それぞれ基準に違いがありますので、十分な注意が必要です。
ブラケット一側足場の場合
ブラケット一側足場の最大積載荷重は1スパン当たり150kg以下です。足場の最大積載荷重は、1スパン当たり150kg以下、建地1本当たり100kgとされており、布板の許容積載荷重が150kg以上であっても、150kg以上の物を置くことはできません。
次世代足場の場合
次世代足場は法律的に単管足場に分類されますが、積載荷重に関しては単管足場とは少し違う条件を各メーカーが出していますので確認するようにしましょう。
【表3】Iqシステム(SRGタカミヤ・KYC)
同一層連側スパンの載荷・・・250kg
同一層連側スパン以外の載荷・・・400kg
布板の幅 | 許容積載荷重 |
240mm | 120kg |
490mm | 245kg |
次世代足場も同様に、布板の積載荷重で足場の積載荷重が決定します。490mmの布板を1枚使用した場合の積載荷重は245kgとなります。
490mmの布板を2枚使用した場合の積載荷重は490kgになりますが、足場の1スパンあたりの積載荷重は 400kgですので、400kg以上の物や人が同時に乗ることはできません。
また、ほとんどの足場で同一スパンの積載は2層までとされていますので、3層以上の積載はしてはいけません。
まとめ
許容積載荷重は布板1枚が耐えられる重さの限界のこと、最大積載荷重は、布板を組み合わせた状態で、各スパンが耐えられる最大の荷重のことを指します。足場の種類によって定められている基準が違いますので、必ず確認し、正しい最大積載荷重を算出したいですね!
最大積載荷重の誤表記は、足場の倒壊といった大事故につながる危険性がありますので、十分注意してください。