労働安全衛生法において、高所(高さ5メートル以上)での建設作業や解体作業に準じる足場の組立て・変更等を行う場合、事業主は足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮を行わせなければならないと定められています。
現場と労働者の安全を確実に守るための重要な責任者であり、その資格取得のためには特別な講習を受ける必要があります。
足場の組立て等作業主任者講習の受講資格
作業主任者という資格は法によって国家資格と位置づけられており、この資格を得るにはいくつかの条件を満たしていなければなりません。
- 満21歳以上で、当該の作業に3年以上従事した経験を持つ者
- 満20歳以上で、大学、高専、高校、中学において土木、建築または造船に関する学科を専攻して卒業した者で、卒業後、当該の作業に2年以上従事した経験を有する者
- 満20歳以上で、足場の組み立て作業主任者講習規定第1条各号いずれかの訓練を修了し、後、当該の作業に2年以上従事した経験を有する者
上記のいずれかに該当していれば、主任者講習を受講することができます。
足場の組み立て作業主任者講習規定第1条各号について
ただし、1については18歳以前の経験年数はカウントされませんので注意が必要です。
なお、とび関連の有資格者等においては講習内容が一部免除される場合もありますので、自分の持っている資格に応じて受講内容を確認することをおすすめします。受講資格の有無がわからない場合にも、講習が開催される団体へ問い合わせるとスムーズです。
作業主任者講習の内容
足場の組立て等作業主任者講習は、基本的に2日間で行われることが多いようです。
1日目に7時間の学科講習、2日目に6時間の学科と1時間程度の修了筆記試験があります。
学科講習を受けるに当たり、受講料とテキスト代の納入が必要になりますので、各都道府県の作業主任者講習を行っている団体に直接問い合わせるか、インターネット等での情報収集もおすすめです。
主な講習内容については以下を参照してください。
- 作業の方法に関する知識 7時間
- 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 3時間
- 作業者に対する教育等に関する知識 1.5時間
- 関係法令 1.5時間
- 修了筆記試験 1時間
学科講習は、講師がテキストに沿って重要な箇所をきちんと説明してくれるようなので、マーカーペンや付箋で印を付けたり、ノートにまとめる等をしておくと試験前の復習に便利です。
足場の作業経験がある程度あると講習内容や試験問題について難しさはあまり感じないかもしれませんが、経験が浅くてもきちんと講習を受けていれば試験は特段難しくないようです。
試験の結果は郵送にて発表されますので、「宛先を書いた封筒」「切手」の準備が必要な場合があります。事前に確認するようにしましょう。
まとめ
足場の組立て等作業主任者は国家資格となっていることでわかるように、高所作業を担う労働者にとって非常に重要な資格と言えます。
事業者は足場を用いる現場にはこの作業主任者を必ず任命する義務があります。
国家資格と聞くと敷居が高く感じてしまうかもしれませんが、真面目に仕事に従事し、講習にも真摯に参加できれば作業主任者講習の受講資格を得ることは、さほど難しくありません。現場を安全に保つためには、きちんと講習を受けしっかりとした知識と経験を積んだ責任感のある作業主任者が必要不可欠となっています。