弟子入りしていた親方から腕を認められて独立する、雇用されていた会社を辞めて起業をするなど理由は様々ですが、一人親方を目指す人が近年増えてきています。個人事業主になるわけですので、手続きや準備が必要なのは分かっても、何をどこから始めればいいのか戸惑うことがたくさんあるでしょう。
一人親方になるのに必要な手続き
一人親方になるためには各所への申請手続きが必要です。
まず、税務署への手続きから始めましょう。
- 開業届(個人名義でもよいが屋号で届出をしておくと今後の処理が楽)
- 所得税の青色申告承認申請
- 家族に対し従業員として給与を支払い経費にする場合は青色事業専従者給与に関する届
- 従業員に支払う給与から源泉徴収し(所得税を天引きする)、それを税務署に収めるための給与支払事務所等の開設届
- 源泉所得税を年2回にまとめて納付できる特例が受けられる源泉所得税の納期の特例の承認届
家族を事務員などにして家事手伝いとして給与を支払わない場合は必要ない書類もありますが、雇用の形を取る場合は上記の一通りの手続きが必要になります。
次に都道府県税事務所と市区町村役場に個人事業開始申告書を提出します。
これは地方税に関するもので、地域によって名称が違うので窓口で相談するとよいでしょう。
続いて、社会保険や厚生年金に加入していた人は市区町村の年金課などで国民健康保険、国民年金へ切り替え申請をします。
家族を従業員としている場合は、労災保険への加入義務があるので労働基準監督署への届け出も必須です。
雇用した人(家族含む)がいる状態であれば、ハローワークで雇用保険の加入手続きも必ずしておいて下さい。
労災保険に未加入だと建設現場に入れませんので、建設業一人親方組合などに入会し、労災保険特別加入制度を利用し労働災害者保険に加入します。
これらの他に、任意ではありますが損害補償保険、所得補償保険などへの加入も検討しておきましょう。
一人親方は手続き以外に何を準備すればいい?
お金に関わる準備の手始めは、まずは屋号名義の口座を用意すること。
個人口座では経費の計算が非常に面倒なものになってしまいます。
工具他の購入資金の調達、仕事をした工事費が翌月すぐに支払われるとは限りませんので次の仕事に掛かる経費を支払うための運転資金と入金されるまでの間の生活費の確保も重要です。
独立するための資金が不足しているようなら日本政策金融公庫で創業資金制度を利用できないか相談するとよいでしょう。
無担保無保証人でも可能な融資制度で金利1%から3%以内ですから一般のローンを考えている人にはこの制度を活用することをおすすめします。
次に事務所をどこにするか決めましょう。
自宅や敷地内にある倉庫を事務所にできれば資金は不要ですが、それができなければ賃貸物件を探します。
また、下請けで仕事をする際に元請から工具を借りられることもありますが、基本的には自前のものを使いますので漏れがないように買い揃えましょう。
一人で請負仕事をするなら資材の用意(購入せずレンタルすることも可能)と資材を運ぶ車などの物的資源の準備も必要です。
まとめ
今回は一人親方になるにあたって必要な手続きや事前にしておくべき準備についてご紹介いたしました。
一度にあれもこれも同時進行で片付けようとせず、まずは金銭的準備と物的準備を整えてから関係各所への手続きをしていくと焦って申請漏れをする恐れがありません。
一人親方になるにあたって手続きに行かねばならない公的機関が多く、面倒に感じるかもしれませんが、どれも大切な申請や届出ばかりですのできちんと手続きをしてくださいね。