足場からの墜落・転落災害の防止については、平成21年6月に安全衛生法規則を改正し、
足場等の墜落防止措置等の見直しを行ったところですが、当該見直しに係る労働災害防止の効果等を検証し、必要な対策について更なる推進を図る必要があるとの観点から、改正を行ったものです。
労働安全衛生規則の一部改正により、足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上又は堅固な床上における補助作業の業務を除く。)が特別教育を必要とする業務に追加されました。(平成27年7月1日から適用)
足場の特別教育の対象者はどんな人?
足場の組み立てや解体又は変更の作業に係わる業務を行う人です。
作業床や建地、筋交い、手すり、壁つなぎ等といった部材を組み付けたり、取外したりする作業を行う人です。
足場の高さは関係ありません。
ただし「地上又は堅固な床上における補助作業は除く」とあります。
これは地上または堅固な床上で、材料を運んだり、整理等の作業のことです。
足場材の取付けや緊結といった作業は補助作業は含まれません。
また足場に登って、材料運搬や整理する場合も補助作業に含まれないので注意が必要です。
特別教育を省略できる人はどんな人?
平成27年7月1日時点で現在足場作業を行っている方は3時間講習(短縮講習)で済みます。
- 足場及び作業の方法に関する知識 1.5時間
- 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 0.25時間
- 労働災害の防止に関する知識 0.75時間
- 関係法令 0.5時間
が時間の目安です。
平成27年7月1日時点で現在足場作業を行っていない方は6時間講習です。
- 足場及び作業の方法に関する知識 3時間
- 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 0.5時間
- 労働災害の防止に関する知識 1.5時間
- 関係法令 1時間
上記が目安です。
また、次に掲げる者は、特別教育を省略することができるとされています。
- 足場の組立て等作業主任者技能講習を修了したもの
- 建築施工系とび科の訓練(普通職業訓練)を修了した者、居住システム系建築科又は居住システム系環境科の訓練(高度職業訓練)を修了した者等足場の組立て等作業主任者技能講習規程(昭和 47 年労働省告示第 109 号)第1条各号に掲げる者
- とびに係る1級又は2級の技能検定に合格したもの
- とび科の職業訓練指導員免許を受けたもの
特別教育の猶予期間はいつまで?
通達により改正規則施行(平成27年7月1日)の際現に足場の組立て、解体又は変更の業務に従事している者に対しては、平成29年6月30日までの間は当該業務に関する特別教育を行うことを要しないとされています。
つまり平成29年7月1日以降も引き続き当該業務に就くのであれば、それまでに特別教育を実施すればよいということであり、この2年間は実質的な猶予期間とも考えられます。
新制度の趣旨から早めの特別教育実施を推奨しています。
※現在(令和元年7月14日時点)はすでに特別教育の猶予期間は終了しています。
もし特別教育の猶予期間が過ぎてしまっているのに作業を行った場合はどうなる?
特別教育を受けていない人が足場の組立等を行った場合は、違反となり、罰則対象になります。
ちなみに、安衛法第119条の「懲役6か月以下若しくは50万円以下の罰金」が罰則となります。
まとめ
足場作業者の特別教育の猶予期間はすでに終わっています。一部の経験者は特別教育を省略することができます。
しかし、猶予期間が過ぎた現在では、特別教育の「修了証」(資格証)をもたずに作業をしてしまうと違反になります。
「懲役6ヶ月以下もしくは50万円以下の罰金」が罰則としてついて十分に注意しましょう。