建設現場において、足場なくして安全で高品質な工事をすることはできません。
作業員の安全性はもちろんのこと、作業効率が格段に向上するため、施工完了までの期間短縮にもなります。
しかし、この足場、安全性を確保するのに重要であることは確かなのですが、危険も存在します。
それは、強風などによって、倒壊の可能性があるということ。
重さ、数キログラムもある部材で構成される足場。総重量は数トンにも及ぶため、倒壊は大惨事につながります。
養生シートに風の通り道を作る
養生シートはメッシュ状になっていますが、塗料や粉塵の飛散を防ぐため網目が細かいものになっています。
強風時に養生シートが風で煽られると、ヨットの帆のように風を直に受け止めてしまうことになります。
その風の負荷に足場の支柱が耐えられなくなって、足場が倒壊するというリスクが考えられます。
そこでこの養生シートに関しても未然に手を打って防止せねばなりません。
基本的な対策としては四隅を開けてまともに風を受けさせないように風力を分散させるという方法。
また養生シートはメッシュ状になっているため、風が通り抜けられるようになっているかこまめに点検・清掃を行うことが大事です。
壁つなぎの設置
壁つなぎ(アンカー)は法令上設置が義務付けられています。
法で決められた基準の間隔は、
単管足場・・・垂直方向=5m以下、水平方向=5.5m以下(くさび緊結式足場を含む)
枠組足場・・・垂直方向=9m以下、水平方向=8m以下
となっています。
ハンマードリルなどにより、建物に穴を開け、メカニカルアンカーを打ち込み設置するのが通常の方法です。
しかし、建物に穴が開くため敬遠されることがあります。
そのためには施工主や元請け業者の協力が必要です。
壁つなぎは建物内外両面への倒壊を防止し、敷地も余分なスペースを作らなくてもよいので、最も効果的な倒壊防止策です。
足場機材側では、床材を受ける横パイプの近くに取り付けてください。
建物躯体側では
- RC造の場合は、アンカーボルトを施工して取り付ける
- 鉄骨造の場合は、鉄骨に専用クランプを使用して取り付ける
上記は必須事項です。
アンカーボルトには各種の施工種類が有りますので注意が必要です。
また、アンカーボルトを施工するコンクリート躯体の状態や、設置する位置に依ってアンカーボルトの強度がまちまちになり、必要強度が出ていないアンカーボルトが多々見受けられますので、使用するアンカーボルトの施工仕様を必ず確認する事を忘れないでください。
また、足場作業員や工事関係者は設置されている壁つなぎを必要もなく外すことはしないようにしましょう。
もし外す場合は、速やかにもとに戻しましょう。
やらず(控え)の設置
足場が倒壊しないように地面から単管などで斜め方向に入れる突っ張りをやらずといいます。
このやらず(控えともいう)は足場の組み立てにおいて必須と言える存在です。
現場の状況や完成予定の足場の高さなどを考慮しながら設置してください。
2017年8月、北海道の建設業者と同社現場責任者が、足場を組み立てる際に、足場作業員に足場の倒壊防止措置である、やらず(控え)の組立て範囲および順序を周知しなかったために死亡事故が発生しています。
やらず(控え)の設置は職人のセンスが問われるものです。
やたらめったら作りすぎるわけにもいきませんが、倒壊の危険を防止するためには必要な措置です。
まとめ
倒壊したら大惨事にになる足場の事故を未然に防止する方法をまとめました。
養生シートや、壁つなぎ、やらずの設置など、足場作業員の法令ガイドラインの知識だけでなく、職人センスの問われるものです。現場の効率性を考えながらも、事故にならないように怠らないようにしましょう。