足場からの転落などを原因とする労働災害件数が問題視され、平成21年に改正された労働安全衛生規則。
約3年後に墜落・転落災害防止対策推進要綱が策定され、平成27年にも再度改正されています。
しかし、死亡災害は減っていません。
業界全体でこの事態を重く受け止め、改善しなければなりません。
足場の組立基準はなぜ決められている?
足場の組み立て基準は事故を防止するために定められています。
足場における事故の大部分を占めるのは組み立てた後の作業中ではなく組立や解体をする際の事故です。
足場を組み立てるための足場は存在しません。
高所であるにもかかわらず、支えてくれるものがない、非常に不安定な状況での作業を余儀なくされます。
ただでさえ危険を伴う足場の組立作業ですので監督者が現場で指揮を行いますが、監督する人間だけの基準で安全かどうかを判断するのは非常に難しく、リスクが高いです。
そこで、共通の指針として示されているのが労働安全衛生規則です。
足場における労働災害・事故をなくしたいという目指すべき未来に向かい、足場組み立てにおける基準を定めています。
足場の組立基準として気をつけるべきポイントは?
足場の組立基準について詳しく書かれている部分を抜粋してご説明します。
労働安全衛生規則509条より:509条では足場に使用する材料について、著しい損傷や変形・腐食・虫食いなどといった安全性が担保されていない材料は使用しないよう規定されています。
作業開始前に必ず確認し、安全性が保てない材料は使用しないように留意しましょう。
作業前の安全点検についても義務付けられています。義務だから…といった意識ではなく、作業員の命を守るために遂行しましょう。
労働安全衛生規則563条より:563条には、2mを超える高所で一側足場以外の足場を組む場合の制限項目が示されています。
- 足場は40cm以上の幅にしなければならない
- 床材の隙間は3cm以下にしなければならない
- 床材と建地の隙間は12cm未満にしなければならない
移動式足場でない場合、床材が崩壊しないよう2つ以上の支持物を取り付ける必要があります。
落下の危険を伴う場合は、高さ10cm以上の幅木や、メッシュシート、防網を使用する必要があります。
これらは、工具の落下防止や、塗料の飛び火、砂塵飛散の防止措置です。
労働安全衛生規則564条より:564条では2m以上の足場の組立や解体、変更等の作業を行う場合の規則が定められています。
- 作業内容の周知徹底をしなければならない
- 作業区域内への作業員以外の立入を禁止しなければならない
- 悪天候時は作業を中止しなければならない
- 足場材の緊結、取り外し、受け渡し等を行う場合、
(1)原則幅40cm以上の作用床設置する
(2)要求性能墜落制止用器具の使用させる - 材料、器具、工具等を上げ下げする際、つり綱やつり袋等を使用させる
- 4の(2)を命じられた場合、必ず従わなければならない
まとめ
今回は足場の組立基準として、現行の労働安全衛生規則を取り上げてポイントをご説明しました。
転落・墜落といった命に関わる重大な事故を一件でも減らし、安心安全な労働環境を実現していきたいですね。