建設等の作業中、墜落・転落による労働災害では毎年多くの死亡災害が発生しています。
その内およそ2割が足場からの墜落・転落による死亡だと言われ、高所作業者の安全を守るための特別教育は必ず受講することとなっています。
その特別教育においては、教育する側にも当然十分な知識と経験が求められます。
特別教育の講師養成講習とは
労働者の教育を行うのと同様に、教育者の育成講習があることをご存じでしょうか。
足場組立て・解体等の実務経験または指導経験があれば講習に申し込みが可能で、各地の労働災害防止協会等の団体が実施しています。
実務経験が問われますので特別教育修了者が該当するということですが、技能教習修了者等一部については、十分な知識と経験を有していると認められ、特別教育科目を省略できる場合もあるようです。
講師育成講習の内容は主に学科講習で、現場の安全対策についての法令や指導者・教育者としてのノウハウを学ぶ場となっています。
研修期間を満了すると修了証が発行されるという流れです。
研修期間は2日間と設定している団体が多いようですが、詳細は各団体のホームページからPDF形式にてダウンロードも可能で、申込書等もそこで入手することができます。
より詳しい内容を知りたい場合は電話での問い合わせをおすすめします。
なお、受講に際して申込書類と合わせ受講料やテキスト代等の納入が必要となりますので、事前に準備しておかなければなりません。
継続学習制度(CPDS)への加入が必要?
足場組立て・解体等の作業を含む土木施工関連において、特別教育といった講習を受けると、その参加履歴をデータ上に残すことができるシステムがあります。
これを継続学習制度「CPDS」(Continuing Professional Development System の略)と言い、一般社団法人 全国土木施工管理技士会連合会をはじめとする建設系の学会や協会が提供しています。
このシステム上にIDを登録することで、講習会の参加履歴から必要に応じて各種証明書類の発行まで申請することが可能です。CPDSでは学習履歴を「ユニット」と定義しており、認定されている講習を受け申請すると1時間につき1ユニットが加算されていく仕組みで、評価を可視化できる大きなメリットとなります。
講習を受けた際に発行される「受講証明書」を提出し、規定されたユニットをこなすことで、主催講習会の開催申請もここで行うことができるようです。
専門的かつ重要度の高い資格を得ていくためには、こうした信頼性の高い機能を利用していくことが望ましいと言えるのではないでしょうか。
現場・労働者の安全を担うという立場に立つには、相応の技術と経験が必要であり、正しい知識をもって教育に携わることが必須条件となっています。
実技だけでは補えない基礎知識や教育者としての資質を向上させていこうという取り組みが全国各地に広がっています。技術者が研鑽を積むことによって、国民の福祉に役立つ良質な目的物を創造するための技術力と資質の向上を図るための取り組みです。
建設現場での事故は生命に直結する事案が多く、足場を用いた高所作業においては更にその危険性を加味しなければなりません。
まとめ
現場労働者や責任者が取り扱うのは建築資材のような無機物だけではなく、多くの人の命を守ることも重要な責務です。
そのための講習を適切に受け、更にその知識や技術を正しく継承していく必要のある特別教育講師は、非常に責任感の問われる役職と言えるのではないでしょうか。